コーヒー豆の個人輸入で関税はかかる?生豆・焙煎豆の税率と注意点

海外ロースターの豆を試したいとき、気になるのが関税や通関の手続きです。 コーヒー豆は「生豆か焙煎豆か」「自分で飲むだけか販売するか」で、税金と確認先が分かれます。
特に2026年時点では、個人使用貨物の課税価格を海外小売価格の6割で見る特例がまだ残っています。 ただし、財務省は令和8年度改正でこの特例を廃止する方針を示しており、施行日は令和10年4月1日とされています。
この記事では、コーヒー豆を個人輸入するときの関税・消費税・食品届・植物検疫を、自宅で飲む人向けに整理していきましょう。
- コーヒー豆の個人輸入で税金がかかる金額の目安
- 生豆は無税、焙煎豆は税率が付く場合がある
- 自分で飲む分と販売用では届出の扱いが変わる
- 生豆は関税より植物検疫を先に見る
- 送料と焙煎日まで見ると失敗しにくい
コーヒー豆の個人輸入で関税がかかる条件
コーヒー豆の個人輸入では、最初に課税価格が1万円を超えるかを見ます。
商品代金そのものではなく、税関が税金計算に使う金額を見てください。 この章では、免税ライン、0.6掛け、消費税の順に確認していきます。
- 課税価格1万円以下なら原則として関税と消費税は免税
- 2028年4月1日までは個人使用貨物の0.6掛け特例が残る
- 免税ラインを超えた場合は関税だけでなく消費税も見る
課税価格1万円以下なら原則免税
税関のカスタムスアンサーでは、税関の免税案内として、課税価格の合計額が1万円以下の物品は関税と消費税が免税されると案内されています。
そのため、海外ロースターから少量のコーヒー豆を買うだけなら、課税価格1万円以下に収まるかを最初に見てください。
ただし、酒税やたばこ税のような別の内国消費税がある品目、一部の免税除外品は扱いが異なり、コーヒー豆そのものも最終判断は税関の通関時の確認になります。
0.6掛け特例は2028年4月まで残る
個人で使う貨物は、2026年5月時点では海外小売価格に0.6を掛けた金額が課税価格の目安です。
たとえば商品代だけで16,666円のコーヒー豆を買った場合、16,666円×0.6で約9,999円になります。
この考え方なら、商品代だけを見ると1万円免税の目安に近い金額になります。
一方で、財務省は令和8年度の関税改正で0.6掛け特例を廃止する内容を示しています。 法律案の施行日欄では、この廃止の施行日が令和10年4月1日とされています。
今後の注文では、財務省の法律案ページも見ておくと安心です。 2028年以降に同じ注文をする人は、計算方法が変わる前提で見直してください。
関税が無税でも消費税は別に見る
生豆なら消費税も見なくてよいのでしょうか。
税関の分類事例では、焙煎・粉砕したコーヒーの内国税率として、消費税6.24%と地方消費税22/78が示されています。
食品としての軽減税率に当たる計算ですが、実際の課税は通関時の分類と価格で決まります。 とはいえ、「生豆だから税金は絶対にかからない」と思い込むより、課税価格と消費税を分けて見るほうが安全です。 配送会社から立替手数料が請求される場合もあるため、支払い通知の内訳は保管しておきましょう。
コーヒー豆の個人輸入で変わる生豆と焙煎豆の関税
コーヒー豆は、焙煎していない豆と焙煎済みの豆で税番が変わります。
同じ「コーヒー豆」でも、税関上は別の品目として扱われるためです。 この章では、生豆、焙煎豆、原産国の順に見ていきましょう。
- 生豆は0901.11または0901.12で無税
- 焙煎豆は0901.21または0901.22で税率が分かれる
- 原産国やEPAで焙煎豆の負担が変わる
生豆は実行関税率表で無税
生豆とは、焙煎していないコーヒー豆です。
実行関税率表では、「コーヒー(いったものを除く)」が未焙煎のコーヒーに当たります。
そのうち0901.11はカフェインを除いていないもの、0901.12はカフェインを除いたものです。
どちらも0901.11 0901.12では無税になっています。
自宅で焙煎する前提なら、関税だけを見ると生豆は有利です。 ただし、生豆は植物そのものに近い扱いです。 税金が軽くても、植物検疫の確認が別にある点は忘れないでください。
焙煎豆は基本20%・WTO12%
焙煎豆とは、焙煎したコーヒー豆を指します。
税関分類事例の0901.21-000では、焙煎・粉砕したコーヒーが0901.21-000に分類され、基本税率20%、協定税率12%、特恵税率10%と示されています。
実行関税率表でも、焙煎豆は生豆と違って税率が並びます。
海外のロースターから焙煎豆を買う場合、まずは12%前後を見ておくと大きく外しにくいでしょう。 ただし、原産国やEPAの条件によって無税になることもあります。
原産国でEPAや特恵の扱いが変わる
発送国と原産国がずれるケースは、コーヒー豆の個人輸入でも珍しくありません。 焙煎豆の関税は、豆の状態だけでなく原産国にも左右されます。
たとえば、アクセス・ジャパンの解説では、2026年1月時点の焙煎豆について、WTO協定12%、特恵10%、LDC特恵Free、EPAでFreeになる国や地域があると整理されています。
ここで大切なのは、通販サイトの発送国とコーヒー豆の原産国が同じとは限らないことです。
アメリカのロースターから買っても、豆の原産地はコロンビアやエチオピアというケースは珍しくありません。
原産地証明やEPAの扱いは個人注文では見えにくいので、配送会社や税関の判断に任せる場面が多くなります。 不安なときは、注文前にロースターへ原産国と焙煎状態を聞いておくと安心でしょう。
コーヒー豆を個人輸入する手順と関税の確認先
コーヒー豆の個人輸入は、商品ページで豆の状態を読むところから始めます。
難しい書類作成から入る必要はありません。 まずは商品ページの情報を読み、個人消費か販売目的かを分けてください。 この章では、商品表示、食品届、植物検疫の順に解説します。
- 商品ページで生豆か焙煎豆かを見る
- 個人消費か販売用かを分ける
- 生豆なら植物検疫の対象を確認する
商品ページで豆の状態を確認する
商品ページで迷う場面では、green coffee、unroasted、roasted、groundの4つをまず見ます。
前者2つなら生豆、roastedなら焙煎豆、groundなら焙煎後に粉砕済みのコーヒーです。 税関上の扱いでは、焙煎しているかどうかが大きな分岐点になります。
あわせて、内容量、商品代金、送料、発送国、豆の原産国も控えておきましょう。 通関で問い合わせが来たとき、商品ページのスクリーンショットや注文確認メールが役に立ちます。
コーヒー用語に迷う場合は、用語整理の記事もあわせて確認しておくと読み進めやすくなります。
個人消費なら食品届は原則不要
少量の個人輸入なら食品届は不要なのでしょうか。 少量の個人用なら、届出書を出さなくてよい扱いです。
ジェトロの食品輸入の解説も、少量の個人用や試験研究用などは、届出書の提出が不要と整理しています。 仙台検疫所も、手荷物で食品を輸入する場合について、個人での消費は届出の対象外と案内しています。
ただし、販売、営業使用、不特定多数への無償配布は別です。 友人やイベントで配る前提なら、個人輸入として軽く扱うのは避け、検疫所や税関へ相談してください。
生豆は植物検疫の対象になる
生豆なら検査が不要というわけではありません。
ジェトロのコーヒー豆輸入手続きの解説では、コーヒー生豆は検査証明書の添付が免除される扱いです。
一方で、輸入検査そのものは必要とされています。
植物防疫所も、植物検疫の対象となるものを輸入した者は、届け出て検査を受ける必要があると案内しています。
焙煎済みの豆は高度に加工されたものとして、植物検疫の対象外になりやすい扱いです。 とはいえ、商品状態が曖昧な生豆ミックスや未焙煎のサンプルを買うなら、植物防疫所の輸入条件検索や相談窓口を使うのが確実です。
コーヒー豆の個人輸入で関税以外も損しない買い方
税率だけを見て買うと、思ったより高くつくことがあります。
コーヒー豆は軽そうに見えて、国際送料、配送日数、焙煎後の香りの落ち方が効いてくるからです。 この章では、総額、分割発送、鮮度の順に見ていきましょう。
送料込みの総額、分割発送の扱い、焙煎日と配送日数の3点を順に見ると判断しやすくなります。
送料込みの総額で比べる
海外通販では、商品代より送料のほうが負担になることがあります。
250gの豆を1袋だけ買うと送料が割高になり、税金がかからなくても国内の専門店より高くなることは珍しくありません。 一方で、1kg近くまとめると送料効率は上がりますが、課税価格や飲み切る期間が問題になります。
編集部で海外ロースターの送料込み価格を3パターンで比べたところ、少量注文は香味の体験料、まとめ買いは鮮度管理の勝負になりやすいと感じました。
初回は250gから500g程度にして、香りや配送の安定性を確かめるのが無難です。
国内で安く飲み切れる豆を探すなら、コスパ目線の記事も参考になります。
分割発送は合算される場合がある
1万円以下の免税を狙って、同じ注文を細かく分ければよいとは限りません。
税関の1万円以下免税の案内では、郵便物について、同一差出人から同一名宛人に同じ時期に分散して送られたものは、分割された郵便物の課税価格を合計するとされています。
つまり、2袋を別便にしただけでは免税になる保証はありません。 配送が遅れたり、問い合わせが増えたりするほうが負担になる可能性もあります。
買い方としては、1回の注文で価格、送料、飲み切る量を素直に整理するほうが後悔しにくいでしょう。
鮮度重視なら焙煎日を優先する
焙煎豆を個人輸入するなら、関税より焙煎日と配送日数のほうが味に影響します。
焙煎直後に発送されても、国際配送で1週間から2週間かかると、開封時の香りは国内ロースターの豆と変わってくるでしょう。 深煎りは油分が表面に出やすく、長距離配送で酸化の影響も受けやすい点を見逃せません。
海外豆らしい個性を楽しむなら、焙煎日が明記され、追跡できる配送方法を選ぶことが先決です。
飲み終わった後の粉は、再利用アイデアを知っておくと便利です。
コーヒー豆の輸入関税に関するよくある質問
ここでは、コーヒー豆の個人輸入で迷いやすい点をQ&A形式で整理します。
海外通販の注文前に、税金、植物検疫、販売目的の境目を確認していきましょう。
- 海外通販で少量買うだけなら手続きは軽い
- 生豆は安く見えても植物検疫の確認が要る
- 転売や配布を始めると個人輸入ではなくなる
海外通販で1袋だけなら税金はかからない?
課税価格が1万円以下なら、原則として関税と消費税は免税です。
2028年4月1日までは個人使用貨物の0.6掛け特例が残るため、商品代だけなら約16,666円がひとつの目安になります。 ただし、送料、保険料、配送形態、税関判断で扱いが変わることがあります。
生豆を少量買うだけでも検査はある?
はい。
生豆は植物検疫の対象です。
コーヒー生豆は検査証明書の添付が免除される扱いがありますが、輸入検査は必要とされています。 個人で少量買う場合でも、未焙煎なら植物防疫所の案内を見てください。
友人に配ったら個人輸入のままでよい?
結論から言うと、自分で飲む範囲なら個人使用に近い扱いですが、不特定多数への配布や販売は別です。
検疫所の案内では、販売や営業上使用する食品は手荷物でも届出が必要で、個人での消費は届出の対象外とされています。 イベントで配る、フリマで売る、カフェで使う場合は商業輸入として相談しましょう。
【まとめ】コーヒー豆の個人輸入と関税の見方
コーヒー豆の個人輸入では、まず課税価格1万円以下の免税ラインを確認します。
2026年5月時点では、個人使用貨物の0.6掛け特例が残っており、商品代だけなら約16,666円が目安です。 ただし、この特例は令和10年4月1日に廃止予定のため、今後は最新情報の確認が欠かせません。
- 生豆か焙煎豆かを商品ページで確認する
- 自分で飲む分か、販売や配布をする分かを分ける
- 課税価格1万円以下の免税ラインを確認する
- 生豆なら植物防疫所の輸入検査を確認する
- 送料、配送日数、焙煎日まで含めて比べる
関税だけで見ると、生豆は無税で有利に見えます。 しかし、初めての個人輸入なら、植物検疫や自宅焙煎の手間まで含めて判断するのが安全です。
焙煎豆は税率が付く可能性がある一方、すぐ飲める手軽さがあります。 海外ロースターの個性を楽しみたいなら、少量から試し、税金よりも鮮度と飲み切る量を優先して選んでください。
