- エスプレッソとドリップの違いは「圧力」か「重力」かの抽出の仕組み
- カフェインの総摂取量はマグカップのドリップコーヒーのほうが多い
- マキネッタやエアロプレスを使えば自宅でも手軽に濃厚な味を淹れられる
- 本場イタリア流では砂糖をたっぷり入れてスイーツ感覚で飲み干す
エスプレッソとドリップコーヒーは身近な飲み物です。
しかし、何が違うのか疑問に感じたことはありませんか?
エスプレッソの抽出方法や、カフェインの量など、まったく異なる文化を持っています。
この記事では、編集部で実際に同じ豆を飲み比べた検証結果を踏まえて、それぞれの違いをわかりやすく比較していきます。
おうちカフェで機材を持たずに濃い味を楽しむ代用術もまとめましたので、ぜひ明日のコーヒー選びの参考にしてください。
エスプレッソとドリップコーヒーの決定的な3つの違い
エスプレッソとドリップコーヒーには、大きく分けて「抽出手法」「仕上がり量」「味わい」という3つの決定的な差があります。
ここでは、基本となる3つの要素を順番に整理していきましょう。
- 抽出方法は圧力か重力かで分かれ、かかる時間も異なる
- 1杯あたりの仕上がり量と使うカップの大きさが違う
- 表面のクレマと味わいの濃厚さに大きな差が出る
抽出方法は圧力か重力かで分かれ、かかる時間も異なる
約9気圧の高い圧力がかかる専用マシンを使い、一気に成分を絞り出します。
まさにこれがエスプレッソの最も際立つ抽出の仕組みです。
かかる時間もわずか20〜30秒と短く、かなり早いです。
一方のドリップコーヒーは、お湯の重力だけを利用して2〜3分かけてゆっくりと抽出するスタイル。
この仕組みの差が、後述する特徴に直結しています。
1杯あたりの仕上がり量と使うカップの大きさが違う
抽出にかかる時間に加えて、出来上がる1杯あたりの量にも差が生まれます。
具体的には、ドリップコーヒーはマグカップ1杯分、約150〜200mlが標準的な分量となっています。
それに対してエスプレッソはデミタスカップと呼ばれる小さな器で用意され、1杯はわずか約30mlしかありません。
これはイタリア語の「急行」を意味する語源の通り、すばやく抽出して短時間で飲み干すためのサイズ感。
これが本来のエスプレッソの姿です。
表面のクレマと味わいの濃厚さに大きな差が出る
味わいや見た目についても、誰が見てもわかる明確な違いがあります。
たとえば、エスプレッソは高い圧力をかけるため、豆の油分が乳化してクレマと呼ばれる黄金色の泡が表面に浮かびます。
この分厚い泡がフタの役割を果たし、豊かな香りをしっかりガード。
少量の液体に凝縮されたパンチのある旨味と苦味を作り出しているわけです。
対照的にドリップコーヒーは、ペーパーフィルターが油分を吸着するため、泡のない澄んだクリアな飲み口をもたらしてくれます。
コーヒー豆の選び方や挽き目はエスプレッソ用に変えるべきか
抽出の仕組みがこれほど違えば、必然的に選ぶ豆の種類に対する条件も変わるもの。
「エスプレッソ用の豆」という言葉を見かけますが、具体的にどう変えるべきなのかをまとめました。
- エスプレッソには深煎りで極細挽きのコーヒー豆が向いている
- ドリップコーヒーは浅煎りから深煎りまで幅広く楽しめる
エスプレッソには深煎りで極細挽きのコーヒー豆が向いている
短時間で一気に成分を引き出すエスプレッソには、専用に調整された特有のセッティングが必要です。
そして、お湯が粉に触れる時間が20秒から30秒と短いため、お湯の抵抗を増やす極細挽きの粉を使うのが大切なポイントとなります。
強い圧力をかけた際に酸味が尖りすぎるのを防ぐため、深煎りにローストされた豆を選ぶのが大原則。
迷ったときは市販の「エスプレッソ用ブレンド」を選ぶと失敗が少なくて安心ですよ。
極細挽きにするには専用のミルが必要ですが、もし手元にない場合はコーヒー豆を挽くミルがないときどうする?代用品7選と味を落とさないコツも参考にしてみてください。
ドリップコーヒーは浅煎りから深煎りまで幅広く楽しめる
一方のドリップコーヒーは、豆の個性をそのまま引き出しやすい自由度の高さが長所です。
たとえば、さっぱりとしたベリー系の酸味が好きなら浅煎りを使い、コクが好きなら深煎りを選ぶといった楽しみ方ができます。
気分に合わせて幅広い焙煎度から選べるのは嬉しい要素です。
挽き目に関しても、標準的な中挽きを使うことで、2〜3分という抽出時間でバランスよく成分が溶け出してくれます。
カフェイン量が多いのは?エスプレッソとコーヒーの違いを比較
「エスプレッソは苦くて濃いから、カフェインの成分も強烈なはずだ」と思い込んでいませんか?
成分の差について、いくつかの視点から詳しく比較していきます。
- 100mlあたりのカフェイン濃度はエスプレッソのほうが高い
- 1杯あたりの総量で比較するとドリップコーヒーのほうが多くなる
- ペーパーで濾さないためコーヒー由来の油分がそのまま含まれる
100mlあたりのカフェイン濃度はエスプレッソのほうが高い
純粋に液体の濃さだけで比べた場合、やはりエスプレッソのほうが際立って高い数値を示すのはご存知でしょうか?
実際に、食品成分データベースの標準データを参照すると、ドリップなどは100mlあたり約60mg程度です。
これに対して、エスプレッソは同じ100mlあたり約212mgもの成分が含まれていることになります。
液体そのものの濃度としては、エスプレッソのほうが3倍以上も濃い結果となっています。
1杯あたりの総量で比較するとドリップコーヒーのほうが多くなる
農林水産省などの公的機関が公開するデータから、1杯ごとのカフェイン量は抽出容量によって大きく変動する事実がわかります。
計算してみると、エスプレッソは1杯約30mlしかないため、総抽出量は計算上およそ64mg程度。
一方でドリップコーヒーは1杯150ml飲むとすれば、約90mgもの量を摂取することになります。
私たちが1杯を飲むときの摂取量は完全に逆転します。
睡眠への影響が心配な場合は、マグカップにたっぷり注がれたドリップコーヒーのほうが受けやすいと言えます。
刺激に弱い編集部員も、30mlのエスプレッソ単体のほうが飲んだ後の動悸が少なく、スッキリと感じることが多いです。
ペーパーで濾さないためコーヒー由来の油分がそのまま含まれる
カフェイン以外にも、健康面を気にするなら知っておきたい重要な成分の差がもう一つ。
たとえば、ドリップコーヒーで使用するペーパーフィルターは、豆に含まれるカフェストールなどの脂質成分を吸着して取り除いてくれます。
その反面、エスプレッソは金属のバスケットを通して抽出されるため、本来の油分がそのままの状態で入ります。
そのため、エスプレッソを毎日何杯もガブ飲みする習慣がある方は、脂質によるコレステロール値の上昇に少し注意が必要です。
気になる方は、ペーパードリップを中心に試してみてください。
【検証】編集部が同じ豆でエスプレッソとコーヒーを飲み比べた
理屈はわかっても、実際にどれくらい味が違うのかは気になってくるところ。
まったく同じ中深煎りの豆を使って、編集部でエスプレッソとドリップコーヒーを飲み比べましたので、結果を解説します。
- ドリップコーヒーは豆本来のフルーツ感や酸味が際立った
- エスプレッソは短時間抽出による力強いコクと苦味が特徴的だった
ドリップコーヒーは豆本来のフルーツ感や酸味が際立った
まずは普段通り、ペーパードリップで淹れてみます。
お湯をゆっくりと注ぐと、豆が持つナッツのような甘みや、ほのかなフルーツのような酸味がバランスよく広がっていきました。
お茶のようにスルスルと飲める軽やかなテイストがあり、読書のお供として時間をかけて少しずつ味わうのにも最適です。
後味もスッキリとしていて、誰もが飲みやすい王道の形ですね。
エスプレッソは短時間抽出による力強いコクと苦味が特徴的だった
続いて、同じ豆を極細挽きにし、家庭用エスプレッソマシンで抽出してみました。
出来上がった30mlの液体を口に含むと、ドリップの時には隠れていた鋭い苦味と、舌にまとわりつくような重みが強く押し寄せてきたのです。
同じ豆を使っているとは思えないほど、パンチのある凝縮された味に変化したのが新鮮な驚きです。
これならミルクを足してカフェラテにしても、十分な濃さが保たれるでしょう。
酸味が残るように焙煎された豆をエスプレッソで淹れると「顔をしかめるほどすっぱい」結果になり、相性の重要さを実感しました。
エスプレッソマシンなしで手軽に濃厚なコーヒーを淹れる方法
高価な専用マシンを持っていなくても、「ガツンと濃いコーヒーを飲みたい」という気分になる日もあるはずです。
おうちカフェで機材を持たずに代用できるこだわりの抽出術を3つ解説します。
- 【直火】マキネッタでモカコーヒーを淹れる
- 【空気圧】エアロプレスでギュッと絞り出す
- 【浸漬】フレンチプレスで粉の量を一気に増やす
マキネッタをつかえば本場イタリアの味が手軽に再現できる
エスプレッソ風の味を楽しむ器具として、マキネッタが便利です。
使い方は非常に簡単で、水と極細挽きの粉を入れて火にかけるだけで、内部の蒸気圧を利用してボコボコと抽出されていきます。
9気圧という強い圧力は出せないため厳密にはモカコーヒーと呼ばれますが、本場のイタリアの家庭では高価なマシンよりもこちらが一般的です。
操作もシンプルでメンテナンスも楽なのが大きなメリットだと言えます。
エアロプレスならエスプレッソに近い濃縮コーヒーが作れる
空気の圧力を利用する注射器のような器具のエアロプレスも、代用にはとても便利です。
極細挽きの粉と少量のお湯を入れ、上から手で体重をかけてギュッと押し込むだけで、滑らかなエキスが作れるのはご存知でしょうか?
後片付けも簡単で持ち運びもできるため、アウトドアでしっかりとした味を楽しみたい方にも人気を集めています。
粉の量を増やしたフレンチプレスでじっくり抽出する
手持ちのフレンチプレスやドリップ器具しかない場合でも、工夫次第で強めのテイストを作り出せるので、ぜひ試してみてください。
通常よりも粉の量を1.5倍から2倍に増やし、お湯の量を少なめにしてじっくり時間をかけます。
そうすることで豆の成分がたっぷりと溶け出してくるので、満足感のある凝縮液が完成します。
これに温めたミルクを合わせるだけで、カフェラテのような仕上がりになります。
きっといつもと違う濃厚な味に仕上がるはずです。
本場イタリアでのエスプレッソの美味しい飲み方と作法
日本では「ただ濃くて苦いだけの修行のような飲み物」と誤解されがちですが、イタリアでの扱いは全く異なります。
本場の正しい飲み方を知って、その魅力を深掘りしていきましょう。
- 砂糖をたっぷり入れてクレマが消える前に数口で飲み干す
砂糖をたっぷり入れてクレマが消える前に数口で飲み干す
本場のバールと呼ばれる立ち飲みカフェでは、たっぷりの砂糖を入れて飲むのがお決まりの作法となっています。
そして、底に沈んだ砂糖をスプーンで軽くかき混ぜ、表面の黄金色のクレマが消えないうちに、熱々の状態をサッと飲み干してください。
上質な苦味と砂糖の甘みが、口の中でトロリと混ざり合う最高の瞬間。
それはまるで、濃厚なビターチョコレートのような満足できるスイーツを味わっているかのようです。
この飲み方を覚えて、一気に楽しさを広げてみてください。
初めて本場の飲み方を教わって「あんなに砂糖を入れてもいいんだ」と知ったとき、それまでの苦いだけのイメージが払拭されて感動しました。
エスプレッソとコーヒーの特徴の違いを活かした定番アレンジ3選
そのまま飲んでも抜群に優秀ですが、濃厚な抽出液の真骨頂はアレンジしたときに発揮されます。
おうちカフェでも真似したい、定番のアレンジメニューを見ていきます。
- エスプレッソの苦味とミルクの甘みが引き立つカフェラテ
- エスプレッソをお湯で割ってブラックで楽しむアメリカーノ
- 熱いエスプレッソを冷たいバニラアイスにかけるアフォガート
エスプレッソの苦味とミルクの甘みが引き立つカフェラテ
エスプレッソアレンジの基本といえば、何といってもカフェラテです。
美味しい作り方はシンプルで、約30mlのエスプレッソに対して、たっぷりの温かいスチームミルクを注ぐことで、パンチとミルクの自然な甘みが絶妙なバランスで溶け合います。
ドリップを牛乳で割る「カフェオレ」よりもコーヒーの風味が消えず、豊かな飲みごたえがたまりません。
エスプレッソ初心者にも最もおすすめの飲み方だと言えます。
エスプレッソをお湯で割ってブラックで楽しむアメリカーノ
独特のテイストは好きだけれど、あの濃さが少し負担だと感じる方にはアメリカーノはいかがでしょうか。
ご自宅での作り方は、抽出したエスプレッソをお湯で適度に割ることで、ドリップコーヒーに近い状態となり、スッキリと飲みやすくなります。
アメリカの兵士が薄めて飲んだことが名前の発祥と言われており、現在も世界中のカフェで親しまれている定番メニューです。
自分好みの濃さに調整しやすいのも大きな長所ですね。
熱いエスプレッソを冷たいバニラアイスにかけるアフォガート
食後の贅沢なデザートとして最高のアレンジがアフォガートです。
作り方はとても簡単。器に盛った冷たくて甘いバニラアイスクリームの上から、抽出したばかりの熱々で苦いエスプレッソを一気にかけます。
アイスがとろりと溶け出し、冷たさと熱さ、甘みと苦味が口の中で絡み合う、大人だけの上質な味わいを楽しんでみてください。
きっと新感覚の美味しさに驚かれるはずです。
エスプレッソとドリップコーヒーに関するよくある質問
最後は、このテーマについて、よくある疑問にQ&A形式で端的にお答えします。
多くの人がつまづくポイントを整理しましたので確認してみてください。
喫茶店の「アメリカンコーヒー」とエスプレッソは何が違いますか?
アメリカーノはエスプレッソをお湯で割ったものを指します。
一方、アメリカンコーヒーは浅煎りの豆を使ったお湯の割合が多いドリップコーヒーを指すことが一般的です。
名前は似ていますが、ベースとなるコーヒーの抽出方法と豆の焙煎の深さが根本的に異なります。
間違えないようにしっかりと覚えておいてください。
エスプレッソ用の豆でドリップコーヒーを淹れても美味しいですか?
美味しく飲むことは十二分に可能です。
そもそもエスプレッソ用の豆は深煎りで酸味が少なく、香ばしいコクを持っています。
そのため、ドリップで淹れるとしっかりとした苦味のある落ち着いたテイストになります。
ミルクと合わせて濃厚なカフェオレにするのにも向いています。
喫茶店の「アイスコーヒー」とエスプレッソは何が違いますか?
喫茶店のアイスコーヒーは、通常は深煎りの豆をドリップで濃いめに抽出し、氷で一気に急冷したものです。
これに対してエスプレッソは短時間で高圧抽出した少量の温かい液体です。
アイスの飲み物にする場合は、抽出したエキスを冷たい水や氷で割るという専用の手順が必要になります。
それぞれで適した使い分けがあります。
エスプレッソの「量」はなぜあんなに少ないのですか?
豆が持つ最も美味しい成分だけを一番搾りのように短時間で取り出しているからです。
もし抽出時間を長くしすぎると、雑味やエグ味といったマイナスな成分までお湯に溶け出してしまいます。
そのため、約30mlという少量でストップさせる仕組みが、最高の味わいを引き出す最大の理由となっています。
品質へのこだわりが詰まった結果と言えます。
【まとめ】エスプレッソとコーヒーの特徴を知って気分で飲み分けよう
今回は、エスプレッソとドリップコーヒーの違いについて、抽出方法や成分、本番イタリアでの美味しい飲み方まで多角的に比較しました。
- エスプレッソは圧力で一気に抽出し、ドリップは重力でゆっくり抽出する
- カフェインの総摂取量は、マグカップで飲むドリップコーヒーのほうが多い
- 砂糖を入れてスイーツ感覚でサッと飲むのが本場イタリア流の作法
- マキネッタ等を使えば、自宅でも近い味わいを手軽に楽しめる
どちらが優れているというわけではなく、それぞれの仕組みが生み出す個性を理解することで、おうちカフェの楽しみ方は無限に広がります。
朝の目覚めには濃いエスプレッソ、読書や仕事中にはスッキリしたドリップコーヒーなど、気分やシーンに合わせてうまく飲み分けてみてくださいね。
