「サードウェーブコーヒーってよく聞くけれど、ファーストウェーブやセカンドウェーブとは何が違うの?」と疑問に感じたことはありませんか?
サードウェーブコーヒーは、コーヒー豆の産地や品種、淹れ方にまでこだわり、一杯ごとの個性をじっくり味わう文化です。
2015年にブルーボトルコーヒーが日本に上陸してから、この流れは一気に広がりました。
この記事では、サードウェーブコーヒーの歴史や特徴、自宅で楽しむためのコツまでまとめています。
- コーヒー文化は「量→空間→品質」と進化し、サードウェーブは品質を追求する第三の波にあたる
- シングルオリジン・浅煎り・ハンドドリップ・ダイレクトトレードなど6つの特徴がある
- スペシャルティコーヒーとの違いは「品質基準」と「文化の潮流」の軸で整理できる
- ブルーボトルや猿田彦コーヒーなど有名店から地方のカフェまで日本全国に広がっている
- 90度前後のお湯でドリッパー・ミル・スケール・ケトルの4つがあれば自宅でも楽しめる
- 「まずい」と感じる原因は浅煎りの酸味で、焙煎度や飲み方で対処できる
- フォースウェーブコーヒーという次の動きも始まっている
サードウェーブコーヒーは「豆が持つ個性を味わう」第三の波
コーヒーの楽しみ方は時代とともに変化してきました。
大量消費の時代を経て、カフェ文化が花開き、さらにその先へと進んだのが「サードウェーブ」です。
ここでは3つの波の全体像と、サードウェーブが日本に届くまでの流れを見ていきます。
- 3つの波は「量→空間→品質」の順に進化してきた
- サードウェーブの始まりは2000年代のアメリカ西海岸から
- 日本でのきっかけは2015年のブルーボトルコーヒー上陸
3つの波は「量→空間→品質」の順に進化してきた
コーヒーの歴史には「ファーストウェーブ」「セカンドウェーブ」「サードウェーブ」と呼ばれる、3つの大きな転換期があります。
ファーストウェーブのテーマは「量」、セカンドウェーブのテーマは「空間」、そしてサードウェーブのテーマは「品質」です。
| 波 | 時代 | キーワード | 代表的な存在 |
|---|---|---|---|
| ファーストウェーブ | 19世紀後半〜1960年代 | 大量消費・インスタント | ネスカフェ・缶コーヒー |
| セカンドウェーブ | 1960年代〜2000年頃 | カフェ空間・深煎り | スターバックス・タリーズ |
| サードウェーブ | 2000年以降 | 品質・シングルオリジン | ブルーボトル・猿田彦コーヒー |
この3つを「量→空間→品質」と捉えると、コーヒー文化全体の流れがすっきり整理できます。
サードウェーブの始まりは2000年代のアメリカ西海岸から
サードウェーブという呼び方が広まったのは、2000年代のアメリカ西海岸がきっかけです。
サンフランシスコやポートランドを拠点にした小規模ロースターが、豆の産地や品種にこだわった浅煎りコーヒーを出し始めました。
ブルーボトルコーヒーやインテリジェンシア、スタンプタウンといったロースターが代表格です。
「コーヒー豆をワインのように楽しむ」という考え方は、それまでの深煎り中心の文化とは対照的でした。
ワインに産地やヴィンテージがあるように、コーヒーにも農園・精製方法・品種で味が変わると気づかせてくれたのが、この第三の波でした。
日本でのきっかけは2015年のブルーボトルコーヒー上陸
日本でサードウェーブコーヒーが大きく注目されたのは、2015年2月6日にブルーボトルコーヒーが東京・清澄白河に1号店をオープンしたことがきっかけです。
オープン初日から長蛇の列ができ、テレビや雑誌でもコーヒー界のアップルとして取り上げられました。
清澄白河という下町エリアに出店したことも話題を呼び、周辺にも個性的なカフェやロースターが増えていきました。
ブルーボトル1号店の行列は印象的でした。
「一杯ずつハンドドリップで淹れるから時間がかかる」のも、むしろサードウェーブらしさだったのでしょう。
ブルーボトルをきっかけに日本でもシングルオリジンやハンドドリップへの関心が高まり、サードウェーブの文化が日本にも根付くきっかけとなったのです。
ファーストウェーブからサードウェーブコーヒーまでの移り変わり
サードウェーブの意味をよく理解するには、それ以前の2つの波を知っておくべきでしょう。
それぞれの時代にコーヒーの楽しみ方がどう変わったのか、順を追って見ていきます。
- ファーストウェーブはインスタントコーヒーの大量消費で世界に広まった
- セカンドウェーブはスターバックスに代表されるカフェ空間の文化
- サードウェーブはコーヒー豆をワインのように楽しむ新しい視点
- 日本の喫茶店文化がサードウェーブの源流になったという見方もある
ファーストウェーブはインスタントコーヒーの大量消費で世界に広まった
19世紀後半から1960年代にかけて、コーヒーは「日常の飲み物」として世界に広まりました。
インスタントコーヒーや缶コーヒーの登場により、誰でも手軽にコーヒーを手にできるようになったのがこの時代です。
焙煎技術の進歩と真空パック包装の普及が、大量生産・大量消費を可能にしたのです。
「おいしさ」よりも「手軽さ」と「価格の安さ」が重視されていた時代とも言えます。
日本ではUCC上島コーヒーが1969年に世界初のミルク入り缶コーヒーを発売し、自動販売機の普及とともにコーヒーが身近な存在になりました。
缶コーヒーの楽しみ方をさらに知りたい方は、「缶コーヒーの温め方とNG例とは?安全に美味しく飲む知識と方法を解説」もあわせてご覧ください。
セカンドウェーブはスターバックスに代表されるカフェ空間の文化
1960年代から2000年頃にかけてのセカンドウェーブは、コーヒーの「味」だけでなく「空間」や「体験」に価値を見出した時代です。
1971年にシアトルで創業したスターバックスが、深煎りのエスプレッソをベースにしたカフェラテやフラペチーノなど多彩なメニューを展開しました。
「家でも職場でもない第三の場所(サードプレイス)」としてのカフェ空間が人気を集めたのです。
スターバックスの名前は、ハーマン・メルヴィルの小説『白鯨(モビー・ディック)』に登場する一等航海士「スターバック」に由来します。
コーヒー豆を運ぶ初期の貿易船をイメージして名付けられました。
この流れは日本にも波及し、1996年に銀座に1号店がオープンしました。
コーヒーが「味わう」だけでなく「過ごす」ものへと変わった時代でした。
サードウェーブはコーヒー豆をワインのように楽しむ新しい視点
セカンドウェーブまでは深煎りのブレンドやエスプレッソが主流でした。
しかしサードウェーブでは、豆の産地や品種、精製方法に注目し、一杯一杯の個性を引き出す淹れ方が広まりました。
ワインのテイスティングに似た「カッピング」と呼ばれる品質評価の手法が広まり、コーヒー豆の風味を細かく言葉で表現する文化が生まれたのです。
「エチオピアのイルガチェフェはジャスミンのような香り」「ケニアはブラックカラント系の酸味」といった表現が、その一例です。
コーヒーを嗜好品としてだけでなく、農産物としてもよく理解する。
その姿勢こそが、サードウェーブコーヒーの原点とも言えるでしょう。
日本の喫茶店文化がサードウェーブの源流になったという見方もある
面白いことに、サードウェーブの「一杯ずつ丁寧にハンドドリップで淹れる」というスタイルは、日本の喫茶店文化にルーツがあるとの指摘もあります。
ブルーボトルコーヒーの創業者ジェームス・フリーマン氏は、日本の喫茶店のハンドドリップに感銘を受けてブランドを立ち上げたと語っています。
つまりサードウェーブは「海外からやってきた新しい文化」であると同時に、日本の喫茶文化が海を渡り、アメリカで進化して逆輸入された側面もあるのです。
日本の喫茶店では何十年も前から丁寧なハンドドリップが当たり前でした。
それが海外で「新しい」と評価されたのは、少し誇らしい気持ちになりますね。
サードウェーブコーヒーの6つの特徴
サードウェーブコーヒーには、それ以前のコーヒー文化とは異なるいくつかの特徴があります。
豆の選び方から淹れ方、生産者との関係性まで、6つのポイントを押さえておきましょう。
- シングルオリジンで農園や品種ごとの個性を味わう
- 浅煎りでフルーティーな酸味や甘さを引き出している
- ウォッシュドやナチュラルなど精製方法にもこだわりがある
- ハンドドリップで一杯ずつ丁寧に淹れるのが基本スタイル
- ダイレクトトレードで生産者に正当な対価を届けている
- トレーサビリティがあるから豆のストーリーまで楽しめる
シングルオリジンで農園や品種ごとの個性を味わう
セカンドウェーブまでは複数の産地の豆をブレンドして「安定した味」をつくるのが一般的でした。
サードウェーブでは、特定の農園や品種の豆だけを使う「シングルオリジン」が大きな特徴です。
シングルオリジンで飲むと、エチオピアならベリー系の甘酸っぱさ、グアテマラならチョコレートのようなコクといった産地ごとの個性がストレートに伝わります。
ワインでいう「テロワール」のような考え方で、土地や気候が生み出す風味の違いをそのまま味わう楽しさがあります。
一度シングルオリジンの違いを体験すると、「同じコーヒーでもこんなに味が違うのか」と驚くはずです。
浅煎りでフルーティーな酸味や甘さを引き出している
サードウェーブ以前のコーヒーは深煎りが主流で、苦味を中心とした味わいが「コーヒーらしさ」とされていました。
サードウェーブでは浅煎り(ライトローストからミディアムロースト)が好まれ、豆本来のフルーティーな酸味や甘さを引き出す焙煎がスタンダードになっています。
浅煎りのコーヒーを口にすると、まるでフルーツジュースのような果実感や、紅茶に似た軽やかさに驚く方も多いです。
ただし浅煎りは酸味が際立つため、深煎りに慣れている方には最初とっつきにくく感じることもあります。
そんなときは中煎りから試してみると、酸味と苦味のバランスがとれた味わいで入りやすくなります。
ウォッシュドやナチュラルなど精製方法にもこだわりがある
コーヒーチェリーから生豆を取り出す工程が「精製」です。
サードウェーブでは、精製方法による味わいの違いにもこだわりを持つ人が増えています。
| 精製方法 | 味わいの傾向 | 代表的な産地 |
|---|---|---|
| ウォッシュド(水洗式) | クリーンで透明感のある酸味 | コロンビア、ケニア |
| ナチュラル(乾燥式) | フルーティーな甘みとワイニーな余韻 | エチオピア、ブラジル |
| ハニープロセス | 両者の中間で甘さが際立つ | コスタリカ、パナマ |
同じエチオピアの豆でも、ウォッシュドだとレモンのような爽やかさ、ナチュラルだとブルーベリーのような甘さに仕上がるのが面白いところ。
精製方法に注目して豆を選ぶと、コーヒーの楽しみ方がさらに広がるでしょう。
ハンドドリップで一杯ずつ丁寧に淹れるのが基本スタイル
セカンドウェーブではエスプレッソマシンによる抽出が中心でした。
サードウェーブでは、ハンドドリップ(ポアオーバー)で一杯ずつ淹れるスタイルが基本です。
注ぐ湯量やスピード、蒸らし時間によって風味が変わるため、バリスタの技術がそのまま味に反映されます。
HARIO V60やカリタウェーブといったドリッパーが世界的に有名になったのも、この流れがきっかけです。
自宅でも同じドリッパーを使えばカフェに近い味を再現できるため、おうちカフェとの相性も抜群の抽出方法でしょう。
ダイレクトトレードで生産者に正当な対価を届けている
サードウェーブのもうひとつの柱が、コーヒーショップやロースターが生産者から直接豆を買い付ける「ダイレクトトレード」です。
従来の流通では複数の仲介業者を経て豆が届くため、生産者に渡る対価は低くなりがちでした。
ダイレクトトレードでは仲介業者が減り、品質に見合った価格が生産者に届く仕組みになっています。
フェアトレードとの違いは、フェアトレードが「最低価格を保証する制度」であるのに対し、ダイレクトトレードは「品質に応じて上乗せした価格で買い取る関係」である点です。
生産者の収入が安定することで、栽培や精製への投資が進み、さらに品質の高い豆が生まれるという好循環が生まれています。
トレーサビリティがあるから豆のストーリーまで楽しめる
サードウェーブコーヒーでは、豆の生産地・農園名・品種・精製方法・標高といった情報が細かく公開される「トレーサビリティ」が浸透しています。
「エチオピア/イルガチェフェ地区/コンガ農協/ウォッシュド/標高1,900m」のように、ラベルに書かれた情報をたどれば、その一杯がどこで誰に育てられたのかまでわかるのです。
豆のパッケージを読みながら「この農園はどんな場所なんだろう」と想像する時間も、サードウェーブならではの楽しみ方です。
目の前の一杯がどんな旅をしてきたのかを知ること。
それがサードウェーブコーヒーの醍醐味のひとつです。
スペシャルティコーヒーとサードウェーブコーヒーとの違い
「サードウェーブコーヒー」と「スペシャルティコーヒー」は混同されやすい言葉です。
この2つは異なる軸で語られるもので、違いを整理しながら解説します。
- スペシャルティコーヒーは豆の品質基準でサードウェーブは文化の潮流
- カッピングスコア80点以上がスペシャルティの条件になっている
- サードウェーブで扱われるのがスペシャルティという位置づけ
スペシャルティコーヒーは豆の品質基準でサードウェーブは文化の潮流
もっとも目立つ違いは、スペシャルティコーヒーが「豆の品質を評価する基準」であるのに対し、サードウェーブは「コーヒーの楽しみ方に関する文化的な潮流」であることです。
前者は、SCA(Specialty Coffee Association)やSCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)が定めた厳格な品質基準に基づく評価制度です。
一方のサードウェーブは、豆の個性を大切にし、産地から一杯のカップに至るまでのプロセスを重視するムーブメント全体を指しています。
わかりやすく言えば「スペシャルティコーヒーは”モノサシ”、サードウェーブは”流れ”」と整理できます。
カッピングスコア80点以上がスペシャルティの条件になっている
スペシャルティコーヒーの認定には、「カッピングスコア」と呼ばれる品質評価で100点満点中80点以上を獲得する必要があります。
カッピングでは、香り・酸味・甘さ・後味・バランスなど複数の項目を専門の評価者がチェックします。
80点以上で「スペシャルティ」、85点以上で「エクセレント」という位置づけです。
カッピングスコアの評価項目
- フレグランス/アロマ(乾燥時・湯を注いだ後の香り)
- フレーバー(口に含んだときの風味全体)
- アフターテイスト(飲み込んだ後の余韻)
- アシディティ(酸の質と強さ)
- ボディ(口当たりの厚み)
- バランス(全体の調和)
- クリーンカップ(雑味のなさ)
- スウィートネス(甘さ)
- ユニフォーミティ(カップ間の均一さ)
- オーバーオール(総合評価)
この仕組みがあるからこそ、どの国の豆でも同じ基準で品質を比較できるのです。
サードウェーブで扱われるのがスペシャルティという位置づけ
では、サードウェーブとこの品質基準は具体的にどう結びついているのでしょうか?
つまりサードウェーブという「文化」のなかで、各産地の厳選された豆が使われているという関係になります。
ただし、対象となる豆はサードウェーブの店だけで扱われるわけではありません。
スーパーやオンラインショップでも購入でき、自宅でスペシャルティグレードの豆を楽しむ方も増えています。
「サードウェーブ=スペシャルティ」ではなく、「サードウェーブがスペシャルティの普及を後押しした」と捉えるのが正確です。
サードウェーブコーヒーの有名店と日本での広がり
サードウェーブコーヒーは特定の店だけのものではなく、日本各地に広がりを見せています。
代表的な店舗を知っておくと足を運ぶきっかけにもなるため、順にチェックしていきます。
- ブルーボトルコーヒーは清澄白河から日本のブームを牽引した
- 猿田彦珈琲やオニバスコーヒーなど個性あるロースターが増えている
- 東京だけでなく地方にもサードウェーブ系のカフェが広がり始めている
ブルーボトルコーヒーは清澄白河から日本のブームを牽引した
2015年2月に清澄白河にオープンしたブルーボトルコーヒーの1号店は、日本のサードウェーブブームの火付け役です。
焙煎から48時間以内の新鮮な豆だけを使い、一杯ずつハンドドリップで出すというスタイルが当時の日本ではとても新鮮でした。
現在は日本国内に30店舗以上を展開しており、六本木・新宿・京都のロースタリーなど各地で味わえるようになっています。
清澄白河の1号店は倉庫をリノベーションした広い空間が特徴で、コーヒーだけでなく「場所」としても人気が続いています。
猿田彦珈琲やオニバスコーヒーなど個性あるロースターが増えている
ブルーボトルの影響を受けつつも、日本独自のスタイルで成長したロースターも多数存在します。
猿田彦コーヒーは恵比寿に本店を構え、「たった一杯で幸せになるコーヒー屋」を掲げる人気店です。
焙煎のこだわりが強く、豆ごとに焙煎プロファイルを細かく調整しています。
オニバスコーヒーは中目黒に本店を構え、「コーヒーで、街と暮らしを豊かにする。」をビジョンに掲げるロースター。
生産国への支援活動にも力を入れており、ダイレクトトレードを積極的に行っています。
ほかにも、フグレントウキョウ(ノルウェー発・渋谷)や丸山コーヒー(長野・軽井沢発祥)など、個性豊かなロースターがサードウェーブの裾野を広げてきた存在でもあります。
東京だけでなく地方にもサードウェーブ系のカフェが広がり始めている
サードウェーブコーヒーは東京に限った文化ではないのです。
大阪・京都・福岡・名古屋・仙台など、地方の主要都市にも質の高いロースターやカフェが次々とオープンしています。
たとえば福岡のレックコーヒーは、ジャパンバリスタチャンピオンシップ2連覇・世界大会準優勝の実績を持つオーナーが手がけるカフェです。
京都では% ARABICA(アラビカ)が東山エリアで国内外の観光客に人気を集めています。
地方のロースターには、地元の農産物とコーヒーを組み合わせたメニューや、地域のイベントとコラボした焙煎体験など、その土地ならではの楽しみ方を用意する店も増えてきました。
旅先でサードウェーブ系のカフェを訪ねるのも、おすすめの楽しみ方です。
東京とは違う雰囲気のなかで、思いがけない一杯に出会えるはずです。
サードウェーブコーヒーで選びたい豆の産地と焙煎度
サードウェーブコーヒーを楽しむなら、豆の産地と焙煎度の相性を知っておくと選びやすくなります。
産地ごとの風味と、初心者でも入りやすい焙煎度の組み合わせを解説します。
- エチオピアやケニアは華やかな酸味と果実感で浅煎りと相性が良い
- グアテマラやコロンビアはバランスが良く初めての人でも飲みやすい
- 中煎りから始めると浅煎り特有の酸味にも少しずつ慣れやすい
エチオピアやケニアは華やかな酸味と果実感で浅煎りと相性が良い
アフリカ産のコーヒー豆はフローラルな香りとフルーツのような酸味で知られる銘柄が豊富です。
エチオピアのイルガチェフェはジャスミンやレモンを思わせる透明感、ケニアはブラックカラントやグレープフルーツ系の鮮やかな酸味が持ち味になっています。
これらの風味を楽しむには、浅煎りから中煎り(ライトローストからハイロースト)がぴったりです。
深煎りにすると華やかな酸味やフローラルな香りが飛んでしまうため、産地の個性を味わいたいなら焙煎度は浅めを選んでみてください。
グアテマラやコロンビアはバランスが良く初めての人でも飲みやすい
「サードウェーブコーヒーに興味はあるけれど、酸味が強いのは少し苦手」という方はいませんか?
そんなときはグアテマラやコロンビアの中煎りから始めると、酸味と苦味のバランスがとれた飲みやすい味わいで入りやすくなります。
グアテマラは火山灰土壌の力で、チョコレートのようなコクと華やかな酸味を兼ね備えています。
コロンビアは「マイルドコーヒーの代名詞」とも呼ばれ、クセが少なくまろやかな味わいが特徴です。
どちらもシングルオリジンで飲むと産地の個性がしっかり伝わるため、初めてのサードウェーブ体験に向いています。
中煎りから始めると浅煎り特有の酸味にも少しずつ慣れやすい
サードウェーブコーヒーで主流の浅煎りは、深煎りに慣れた方にとっては酸味が強く感じられることがあります。
いきなり浅煎りを試すよりも、まず中煎りで酸味と苦味のバランスに慣れてから、少しずつ浅煎りに移行するのがスムーズです。
中煎りのブラジルやコロンビアで「コーヒーにもこんなフルーティーさがあるんだ」と感じたら、次はエチオピアの浅煎りに挑戦してみてください。
「酸っぱい」ではなく「フルーティーで明るい」と感じられるようになったら、サードウェーブの楽しみ方がぐっと広がった証拠です。
サードウェーブコーヒーを自宅で楽しむ淹れ方と道具
カフェに行かなくても、自宅でサードウェーブコーヒーを味わうことはできます。
必要な道具と基本のコツを解説します。
- 揃えたい基本道具はドリッパー・ミル・スケール・ケトルの4つ
- 浅煎り豆は90度前後のお湯で丁寧に注ぐのがコツ
- 編集部が3種類のシングルオリジン豆を自宅で飲み比べた結果
揃えたい基本道具はドリッパー・ミル・スケール・ケトルの4つ
サードウェーブコーヒーを自宅で淹れるためにまず揃えたいのが、ドリッパー・コーヒーミル・デジタルスケール・細口ケトルの4つです。
- ドリッパー ─ HARIO V60やカリタウェーブが定番で、1,000円前後から購入できる
- コーヒーミル ─ 挽きたての豆を使うことで香りがぐんと上がる。手挽きなら3,000円台からスタートできる
- デジタルスケール ─ 豆と湯の量を正確に測ることで味が安定する。0.1g刻みのものが便利
- 細口ケトル ─ 注ぐスピードをコントロールしやすく、ムラのない抽出ができる
この4つが揃えば、自宅でもカフェのハンドドリップに近い味わいを楽しめます。
すべて揃えても1万円以内に収まることが多く、最初の投資としてはとても手頃です。
浅煎り豆は90度前後のお湯で丁寧に注ぐのがコツ
浅煎りの豆は深煎りに比べて密度が高く、成分が抽出されにくい特性があります。
90度前後のやや高めの湯温で、ゆっくりと丁寧に注ぐのが風味を引き出すポイントです。
- 豆の量:15g(中挽き)
- 湯量:230ml
- 湯温:90度前後
- 蒸らし:30秒
- 注ぎ方:500円玉サイズの円を描きながらゆっくり注ぐ
湯温が低すぎると抽出不足で酸味ばかりが目立ってしまいます。
逆に高すぎると苦味やエグ味が出やすくなるため、90度前後を目安に調整してみてください。
フィルター選びも味に影響するため、「コーヒーフィルターの違いと選び方」もあわせて参考にしてみてください。
編集部が3種類のシングルオリジン豆を自宅で飲み比べた結果
「産地で本当に味が変わるの?」という疑問に答えるため、編集部がエチオピア・コロンビア・ブラジルの3種を同一条件で淹れて飲み比べてみました。
| 産地 | 焙煎度 | 香り | 酸味 | コク | 印象 |
|---|---|---|---|---|---|
| エチオピア | 浅煎り | ジャスミン・ベリー系 | ★★★★★ | ★★☆☆☆ | 紅茶のような華やかさ |
| コロンビア | 中煎り | ナッツ・カラメル | ★★★☆☆ | ★★★★☆ | まろやかで安心する味 |
| ブラジル | 中煎り | チョコレート・ナッツ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ | 万人受けするバランス |
エチオピアの浅煎りはまるでフルーツティーのような華やかさで、「これが本当にコーヒーなの?」と驚く味わいでした。
コロンビアはどなたにもすすめやすい安定感があり、ブラジルは飲みなれた「コーヒーらしさ」を感じられる一杯です。
まずはブラジルとエチオピアの2種類で飲み比べてみると、サードウェーブコーヒーの面白さが一目で(一口で)わかるはずです。
サードウェーブコーヒーを「まずい」と感じる原因と対処法
サードウェーブコーヒーに対して「酸っぱくてまずい」という声を耳にする人もいます。
その原因と対処法を押さえておきましょう。
- 浅煎り特有の酸味が苦手な人は焙煎度を少しだけ上げてみる
- 抽出の温度や挽き目がズレると酸味が強調されすぎる
- ミルクや少量のはちみつを加えると酸味がまろやかになる
浅煎り特有の酸味が苦手な人は焙煎度を少しだけ上げてみる
深煎りのコーヒーに慣れている方がいきなり浅煎りを飲むと、強い酸味に面食らうことがあります。
このとき「浅煎りが合わない」と決めつけるのではなく、中煎り(ハイロースト)に焙煎度を一段階上げてみてください。
中煎りなら酸味がまろやかになりつつ、浅煎り特有のフルーティーさも残ります。
そこから少しずつ浅煎りに寄せていくと、酸味を「嫌な酸っぱさ」ではなく「フルーツのような明るさ」として楽しめるようになるでしょう。
抽出の温度や挽き目がズレると酸味が強調されすぎる
「酸っぱい」と感じるもうひとつの原因は、抽出条件のズレです。
- 湯温が低すぎる ─ 80度以下だと抽出不足で酸味だけが目立つ。90度前後に上げる
- 挽き目が粗すぎる ─ 湯の落下が速く成分を十分に抽出できない。少し細かめに調整する
- 蒸らし時間が短い ─ 粉全体にお湯が行き渡っていない。30秒以上はしっかり蒸らす
湯温を90度前後に合わせ、挽き目を中挽きにするだけで味の印象がガラリと変わるケースはよくあります。
道具の使い方ひとつで味が改善されるのも、ハンドドリップの面白さです。
ミルクや少量のはちみつを加えると酸味がまろやかになる
それでも酸味が気になる場合は、ミルクを少量加えるか、はちみつをティースプーン1杯ほど入れてみてください。
ミルクのたんぱく質が酸味をまろやかに包み込み、飲みやすさがぐっと上がります。
はちみつは酸味と甘みを調和させる効果があり、エチオピア産の浅煎りと相性が良いのでぜひ一度試してみてください。
砂糖よりもはちみつの方が風味を壊しにくいため、サードウェーブのカフェでもはちみつを置いている店が増えてきました。
フォースウェーブとは?サードウェーブコーヒーの先にある動き
サードウェーブに続く「フォースウェーブ」という言葉も、少しずつ使われるようになっています。
まだ定義が確立していない概念ですが、その方向性を解説します。
- 自宅で生豆から焙煎する「とことん自分好みの体験」がフォースウェーブ
- サステナビリティと最新テクノロジーの融合が新たな潮流を生んでいる
- 2025年にオープンしたSAMAA_はフォースウェーブを掲げている
自宅で生豆から焙煎する「とことん自分好みの体験」がフォースウェーブ
フォースウェーブのひとつのキーワードが「パーソナライゼーション」です。
カフェで出される一杯を楽しむだけでなく、自宅で生豆を選び、自分で焙煎し、自分だけの味をつくるという体験型の楽しみ方が広がり始めています。
家庭用の小型焙煎機が手頃な価格で手に入るようになったことも、この流れを後押ししています。
焙煎の深さを1度単位で調整し、「今日はエチオピアを浅煎り気味に」「明日はブラジルをシティローストで」と日々実験できるのが醍醐味です。
サードウェーブが「カフェで味わう体験」だとすれば、フォースウェーブは「自宅でつくる体験」そのものです。
サステナビリティと最新テクノロジーの融合が新たな潮流を生んでいる
フォースウェーブにはもうひとつ柱があります。
環境への配慮と最新技術を掛け合わせる動きです。
カーボンニュートラルな栽培方法や、コーヒーかす(コーヒーグラウンズ)のアップサイクルといったサステナブルな取り組みが注目を集めています。
さらにAIを活用した焙煎プロファイルの最適化や、ブロックチェーンによるトレーサビリティの透明化など、テクノロジーの力でコーヒー体験を進化させる動きも加速しています。
「おいしさ」と「持続可能性」を両立させるために、生産者・ロースター・消費者がテクノロジーでつながる。
そんな未来像がフォースウェーブの根底にあります。
2025年にオープンしたSAMAA_はフォースウェーブを掲げている
フォースウェーブを体現する店舗も登場し始めています。
2025年10月1日に東京・三軒茶屋にオープンしたSAMAA_(サマア)は、自らフォースウェーブを名乗るコーヒーショップです。
SAMAA_では、来店者が生豆の産地や焙煎度を自分で選び、その場で焙煎した豆でコーヒーを淹れてもらえるスタイルを取り入れています。
「消費者がただ飲むだけでなく、自分で味をデザインする」という考え方がフォースウェーブのコンセプトを象徴しています。
まだ「フォースウェーブ」という言葉は定着していませんが、コーヒーの楽しみ方がカフェから自宅へ、受け身から能動的な体験へと広がっている流れは確かに感じます。
サードウェーブコーヒーに関するよくある質問
サードウェーブコーヒーについて、読者の方からよく寄せられる7つの疑問にお答えします。
サードウェーブコーヒーとセカンドウェーブの一番の違いは何ですか?
一番の違いは「コーヒー1杯への向き合い方」です。
セカンドウェーブはエスプレッソベースのドリンクを「カフェ空間」で楽しむ文化でした。
サードウェーブは豆の産地や品種、精製方法にまでこだわり、一杯一杯の個性を引き出す「品質重視」のスタイルです。
サードウェーブコーヒーの豆はどこで買えますか?
専門のロースターやオンラインショップで購入できます。
ブルーボトルコーヒーや猿田彦コーヒーのオンラインストアでは、シングルオリジンの豆を自宅に届けてもらえます。
カルディやスーパーでもスペシャルティグレードの豆を扱う店が増えており、以前より手に入りやすくなっています。
サードウェーブコーヒーは酸っぱくて飲みにくいと聞きますが本当ですか?
浅煎りの豆はフルーティーな酸味が特徴のため、深煎りに慣れた方には「酸っぱい」と感じることがあります。
ただし、中煎りの豆を選んだり、湯温を90度前後に調整したりするだけで印象はかなり変わります。
ミルクやはちみつを加えてまろやかにする方法もあるため、一度で「合わない」と決めつけずに試してみてください。
サードウェーブコーヒーの豆はブレンドコーヒーと何が違いますか?
サードウェーブで主流のシングルオリジンは、特定の農園や品種の豆だけを使うため、産地ごとの個性がダイレクトに伝わります。
一方ブレンドコーヒーは、複数産地の豆を配合して「安定したバランスのとれた味」を目指したものです。
産地の違いを楽しみたい方にはシングルオリジン、毎日安定した味を飲みたい方にはブレンドが向いています。
自宅でサードウェーブコーヒーを楽しむのに最低限必要な道具は何ですか?
ドリッパー・コーヒーミル・デジタルスケール・細口ケトルの4つがあれば始められます。
すべて揃えても1万円以内に収まるケースが多く、特にHARIO V60は1,000円前後で購入できる人気のドリッパーです。
まずは手頃な道具で始めて、慣れてきたらグレードアップしていくのが無理のない進め方です。
サードウェーブコーヒーにはデメリットもありますか?
よく挙がるデメリットは「価格が高め」と「浅煎り特有の酸味に慣れが必要」の2点です。
シングルオリジンの豆は100gあたり800円から1,500円程度が相場で、スーパーのブレンドコーヒーと比べるとやや高めになります。
ただし一杯あたりに換算すると100円から150円程度にすぎません。
コンビニコーヒーとほぼ同じ価格帯で、品質の高い一杯を自宅で楽しめると考えればコスパは悪くないでしょう。
サードウェーブコーヒーはなぜ値段が高いのですか?
価格が高い理由は主に3つあります。
ダイレクトトレードにより生産者に正当な対価を支払っていること、シングルオリジンで品質管理にコストがかかること、そして少量を丁寧に焙煎しているため大量生産に比べて一杯あたりの原価が高くなることです。
豆の品質やストーリーに価値を見出す方にとっては、その価格差以上の体験が得られるはずです。
【まとめ】サードウェーブコーヒーは「一杯の物語」を楽しむ文化
サードウェーブコーヒーは、大量消費の「ファーストウェーブ」、カフェ空間の「セカンドウェーブ」に続く、コーヒー豆の個性と品質にとことんこだわる第三の波です。
- コーヒー文化は「量→空間→品質」の順に進化し、サードウェーブは品質にこだわる文化
- シングルオリジン・浅煎り・精製方法・ハンドドリップ・ダイレクトトレード・トレーサビリティが6大特徴
- スペシャルティコーヒーは「品質基準」、サードウェーブは「文化の潮流」
- ブルーボトルや猿田彦コーヒーをはじめ、日本全国にサードウェーブ系の店舗が広がっている
- ドリッパー・ミル・スケール・ケトルの4つがあれば自宅でも始められる
- 「まずい」と感じたら焙煎度・湯温・挽き目を見直してみると印象が変わる
- フォースウェーブという「自宅で焙煎から楽しむ」次の動きも始まっている
サードウェーブコーヒーの一杯には、産地の気候や土壌、生産者の手仕事、ロースターの焙煎技術といった「物語」が詰まっています。
ぜひ次のコーヒー選びでは、ラベルに書かれた産地や精製方法にも目を向けてみてください。
いつもの一杯が、きっと少しだけ特別に感じられるはずです。
