カフェで受け取ったカップにハートや葉っぱの模様が描かれていると、それだけで一日のスタートが少し特別に感じられるものです。
ラテアートの種類はフリーポア・エッチング・3D・ステンシルの4つの技法に分かれ、それぞれ描けるデザインの幅が異なります。
フリーポアでハートやリーフを描く方法から、エッチングや3Dラテアートで動物やキャラクターを表現するスタイルまで、知れば知るほどおうちカフェの楽しみ方が広がります。
この記事では、ラテアートの種類を技法・デザイン別に整理しながら、道具の選び方やミルクの扱い方、自宅での練習法まで一通りまとめました。
- ラテアートはフリーポア・エッチング・3D・ステンシルの4技法に分かれる
- フリーポアではハート→リーフ→チューリップ→スワンの順に難易度が上がる
- フリーポアが「ラテアート」、ピックで描くのが「デザインカプチーノ」と呼ばれることがある
- スチーム機能つきマシン+12ozピッチャーがあれば自宅で始められる
- テクスチャリングと60℃前後の温度管理できめ細かいフォームミルクになる
- 水練やフレンチプレスを使えばマシンなしでも注ぎの動作を練習できる
- JLACやWLACでバリスタたちがフリーポアの腕前を競っている
ラテアートとは?種類を知る前に押さえたい基本の仕組み
ラテアートと聞くと「バリスタだけの特別な技術」と身構えてしまう方もいるのではないでしょうか?
けれど仕組みを知ると意外とシンプルで、自宅のキッチンでも十分に挑戦できます。
ここではラテアートの仕組みと歴史を確認していきましょう。
- エスプレッソのクレマとスチームミルクの対比で模様が浮かぶ
- カプチーノとカフェラテで泡の厚さと仕上がりが変わる
- ラテアートの歴史は1980年代後半のイタリアとシアトルから始まった
エスプレッソのクレマとスチームミルクの対比で模様が浮かぶ
ラテアートの原理は、エスプレッソの表面を覆う赤褐色のクレマ(泡の層)に、白いスチームミルクを流し入れることで色の対比を作り出す、というものです。
クレマはコーヒー豆の油分と炭酸ガスが結合してできる薄い泡で、いわばキャンバスの役割を果たします。
このキャンバスの上にきめ細かいミルクを浮かせると、白い模様がくっきりと映えます。
ミルクの注ぐ高さやスピード、ピッチャーの傾きを少し変えるだけで絵柄がまったく違ってくるのがおもしろいところです。
注ぎ方ひとつで無数のデザインが生まれるため、同じ道具を使っても飽きずに楽しめます。
カプチーノとカフェラテで泡の厚さと仕上がりが変わる
同じエスプレッソベースでも、カプチーノとカフェラテではフォームミルクの厚さが異なります。
カプチーノは泡が厚めで、ふんわりとした口当たりが特徴です。
一方のカフェラテはスチームミルクの割合が多く泡は薄め。
泡が厚いカプチーノはエッチング向き、泡が薄めのカフェラテはフリーポアに適しています。
どちらが正解ということはなく、自分が好きな飲み口とデザインで選べば問題ありません。
カフェラテの脇肪が気になる方は、「カフェラテは太る?脇肪とカロリーオフな飲み方や選び方を解説」もあわせてご覧ください。
ラテアートの歴史は1980年代後半のイタリアとシアトルから始まった
ラテアートの起源はそれほど古くなく、1980年代後半から1990年代にかけてイタリアとアメリカのシアトルでほぼ同時期に発展したとされています。
シアトルのバリスタであるデヴィッド・ショマーはフリーポアの技術を解説するビデオや書籍を世に出し、世界中のバリスタに影響を与えました。
カプチーノを淹れる過程でミルクとエスプレッソが偶然混ざり合い模様ができたのがきっかけとされており、約35年ほどの歴史をもつ比較的新しいアートフォームです。
ラテアートの種類は大きく分けて4つの技法がある
ラテアートの技法は一つだけではなく、描き方のアプローチによって4つに分類できます。
それぞれ難易度も仕上がりの雰囲気もまったく異なるため、順番に見ていきます。
- フリーポアはピッチャーの動きだけで模様を描く基本技法
- エッチングは竹串やピックで自由に絵を描ける
- 3Dラテアートはフォームミルクで立体造形を作る
- ステンシルアートは型紙とココアパウダーで手軽に模様を出せる
フリーポアはピッチャーの動きだけで模様を描く基本技法
ミルクピッチャーからスチームミルクをカップに注ぐ動作だけで模様を描くのがフリーポアという方法です。
道具はピッチャー1つあれば十分で、バリスタの腕がそのまま作品に表れます。
注ぐ高さ・速さ・ピッチャーの振り幅を変えるだけでハートやリーフといったデザインが生まれてくるのは、フリーポアならではの醍醐味です。
カフェで見かけるラテアートの多くはこのフリーポアで描かれており、世界大会でもフリーポアが中心になっています。
エッチングは竹串やピックで自由に絵を描ける
カップに注いだミルクの表面を、竹串やラテアートピック、スプーンの先端で動かして絵柄を描くのがエッチングという技法です。
フリーポアが「注ぐ動作」で勝負するのに対し、エッチングは注いだ後にじっくりと仕上げるため、時間的な余裕があります。
チョコレートソースで線を引いてからピックで横切ると、きれいなマーブル模様も手軽にできるのがうれしいところ。
動物の顔やメッセージ文字など、フリーポアでは表現しにくい細かいデザインも自在に描けます。
フリーポアに比べてハードルが低いため、最初にエッチングから入る方も多いです。
3Dラテアートはフォームミルクで立体造形を作る
3Dラテアートは、硬めに泡立てたフォームミルクをカップの縁の上に盛りつけて立体的な造形を作る技法です。
クマやネコ、ウサギといったかわいい動物が人気で、SNSでの映えも抜群。
通常のスチームミルクよりも泡にコシが必要で、空気を多めに含ませて持ち上げても崩れない硬さに仕上げるのがコツになります。
ステンシルアートは型紙とココアパウダーで手軽に模様を出せる
ステンシルアートは、カップの上に型紙(ステンシルシート)を置いてココアパウダーやシュガーパウダーを振りかけ、模様を浮き上がらせる方法です。
型紙は100均や製菓用品店で手に入り、自作もできます。
クリアファイルをカップの直径より一回り切り、中心に好きな絵柄をカッターでくり抜くだけでオリジナルの型紙が完成します。
ラテアートの技術に自信がない段階でも、来客に少し特別な雰囲気のコーヒーを出したいときに便利です。
フリーポアの練習前でも、すぐにカフェ気分を味わえるのがステンシルアートの良さといえます。
ココアパウダーの美味しい使い方に興味がある方は、「コーヒーとココアを混ぜるとどうなる?絶妙の風味比と作り方」も参考にしてみてください。
フリーポアで描けるラテアートのデザイン一覧
フリーポアで描けるデザインは、基本のハートから始まりリーフ、チューリップ、スワンと難易度が上がっていきます。
それぞれの描き方のイメージと特徴をまとめました。
- ハートはラテアートの出発点になる基本デザイン
- リーフ(ロゼッタ)はピッチャーを左右に振って葉脈を表現する
- チューリップはハートを重ねて花のかたちに仕上げる
- スワンは曲線と切り返しを組み合わせた上級デザイン
- ウィングチューリップやフェニックスなど応用パターンも広がっている
ハートはラテアートの出発点になる基本デザイン
ハートはフリーポアの最も基本的なデザインで、「ここが安定すれば次に進める」という出発点のような存在です。
ピッチャーを液面に近づけてミルクを浮かせ、白い丸ができたら手前に一直線にカットするだけ。
シンプルに見えますが、ミルクの注ぐ量と高さのコントロールが凝縮されています。
編集部でも最初はハートから練習を始め、30杯ほど繰り返したあたりから形が安定してきた実感がありました。
リーフ(ロゼッタ)はピッチャーを左右に振って葉脈を表現する
リーフはロゼッタとも呼ばれるデザインで、ミルクが液面に浮かび始めたタイミングでピッチャーを左右に細かく振りながらカップの奥から手前に後退させて描きます。
振り幅を変えるとウェーブの太さが変わり、小さくすると繊細な葉脈のような模様に仕上がります。
最後にハートと同じ要領で中心をカットすると葉脈の中心線が通り、きれいなリーフが完成するのです。
ハートが安定してから取り組むと、振りの感覚をつかみやすくなります。
チューリップはハートを重ねて花のかたちに仕上げる
チューリップは、ミルクの白い丸を「注ぐ→止める→少し手前から再び注ぐ」と繰り返し、複数の層を重ねて花のような形を作るデザインです。
3〜4投を重ねたあとに中心をカットすると、花びらが連なったような仕上がりになります。
注ぐ→止めるのリズムが独特なので、最初はミルクの量配分がつかみにくいと感じる方が多いです。
キャンバスを多め・模様を少なめに意識することで溢れにくくなります。
スワンは曲線と切り返しを組み合わせた上級デザイン
スワン(白鳥)は、リーフの技法をベースにしながら首や翼のカーブを表現する上級デザインです。
胴体部分はリーフのように左右に振りながら描き、首はミルクの細い線をS字カーブで引いて仕上げるのが特徴。
全体のバランスを取るのが難しく、フリーポアの中でも「描けると一目置かれる」テクニックです。
ウィングチューリップやフェニックスなど応用パターンも広がっている
基本の4デザインをマスターすると、そこから派生した応用パターンにも挑戦できます。
ウィングチューリップはチューリップの両サイドに羽のような模様を加えたもので、注ぎと合わせて繊細な振りを加える高度な技術です。
フェニックスはバリスタごとにオリジナルのデザインが存在し、コンテストで「シグネチャーアート」として披露されることもあります。
こうした応用パターンはSNSやYouTubeで日々新しいものが生まれており、フリーポアの世界はまだまだ広がっている最中です。
エッチングと3Dで描ける種類はキャラクターや動物にも広がる
フリーポアがピッチャーの動きだけで表現するのに対し、エッチングや3Dラテアートは道具や造形の工夫で自由度がぐんと広がります。
それぞれの特徴と画材の使い方を順番に確認していきましょう。
- エッチングなら動物やキャラクターの細かい絵柄も描ける
- ココアパウダーとチョコレートソースが基本の画材になる
- 3Dラテアートはクマ・ネコ・ウサギなどの立体造形が楽しめる
- カラーラテアートは着色したミルクで鮮やかに仕上げる
エッチングなら動物やキャラクターの細かい絵柄も描ける
エッチングの一番の持ち味は、フリーポアでは難しい曲線や細かい表現が自在にできる点にあります。
クマの輪郭をピックで引いたり、目と鼻をチョコレートソースの点で打ったりする作業は、絵を描く感覚に近いものです。
誕生日のお祝いメッセージや、友人の似顔絵を描いてSNSに投稿する人もいます。
注いだ後にじっくり仕上げられるため、時間をかけて丁寧に作りたい方にぴったりの技法でしょう。
ココアパウダーとチョコレートソースが基本の画材になる
エッチングで使う画材は、おもにココアパウダーとチョコレートソースの2つです。
ココアパウダーは茶こしを使って振りかけると均一な薄い層ができ、そこをピックでなぞれば線がくっきり出ます。
チョコレートソースは細口ボトルに入れて使うと、線の太さを細かくコントロールしやすくなるのでおすすめです。
キャラメルソースやストロベリーソースを加えれば、色のバリエーションがさらに増えるため表現の幅が広がります。
3Dラテアートはクマ・ネコ・ウサギなどの立体造形が楽しめる
3Dラテアートは、カップから飛び出すような立体的な造形ができるのが最も特徴的なポイントです。
硬めのフォームミルクをスプーンですくい上げ、カップの縁に載せて形を整えていく手順で仕上げます。
クマ・ネコ・ウサギといった動物系がとくに人気で、チョコレートソースで表情をつけると一気にかわいらしさが増すのです。
3Dラテアートのミルクは、通常のフリーポア用より空気を多めに含ませて「もったり」した硬さにするのがコツ。
スチーム時間を長めに取ってみてください。
カラーラテアートは着色したミルクで鮮やかに仕上げる
近年注目されているのが、食用色素でミルクに色をつけて描くカラーラテアートです。
通常は茶色と白の2色だけですが、青や赤、黄色を加えることでまるで絵画のような作品に仕上げられます。
食用色素を少量スチームミルクに混ぜてから注ぐ方法が一般的で、着色後はミルクが分離しやすいため素早く作業するのがコツ。
エッチングと組み合わせれば、花畑や風景画のような複雑な表現も生まれます。
ラテアートとデザインカプチーノの違い
「ラテアート」と「デザインカプチーノ」という2つの言葉を見かけることがありますが、その使い分けには少し曖昧な部分もあります。
ここではそれぞれの定義と、実際の使われ方を整理していきます。
- フリーポアがラテアート、ピックで描くのがデザインカプチーノ
- 実際には両方をまとめて「ラテアート」と呼ぶのが一般的
フリーポアがラテアート、ピックで描くのがデザインカプチーノ
一般的な分け方として、フリーポア(注ぐ動作だけで描く)がラテアート、ピックやソースを使って描くのがデザインカプチーノと呼ばれることがあります。
カフェのメニューで「デザインカプチーノ」と書かれていたら、エッチングで動物の絵や文字が描かれたカプチーノをイメージするとわかりやすいです。
呼び方が分かれた背景
イタリアでは、カプチーノにピックで模様を描くスタイルが先に広まりました。
その後シアトルでフリーポアの技術が生まれ、それを「ラテアート」と呼ぶようになったとされています。
実際には両方をまとめて「ラテアート」と呼ぶのが一般的
とはいえ現在では、フリーポアもエッチングもひっくるめて「ラテアート」と呼ぶのが主流です。
エッチングをデザインカプチーノと厳密に区別しているカフェは少なく、JLACでもフリーポアとエッチングの両方が審査対象となっています。
呼び方の境界はあまり気にせず、「どの技法で何を描きたいか」に目を向けたほうが楽しいでしょう。
自宅でラテアートの種類を試すのに必要な道具
カフェのような本格的な環境がなくても、道具をいくつかそろえれば自宅でラテアートを始められます。
最低限押さえておきたいアイテムを一つずつ紹介していきます。
- スチーム機能つきエスプレッソマシンが必須アイテムになる
- ミルクピッチャーは注ぎ口の形状でアートの描きやすさが変わる
- エスプレッソマシンがなければミルクフォーマーでも代用できる
- 牛乳は成分無調整タイプを冷蔵庫から出してすぐ使う
- 底が丸く厚みのあるカップを選ぶとミルクが対流しやすい
- オーツミルクや豆乳でもラテアートは描ける
スチーム機能つきエスプレッソマシンが必須アイテムになる
ラテアートの基本はしっかり抽出されたエスプレッソです。
家庭用の半自動エスプレッソマシン(1〜3万円台)でも、スチーム機能が付いていれば十分に練習を始められます。
デロンギの「デディカ スタイル(EC685M)」や「デディカ アルテ(EC885J)」は自宅ラテアートの入門機として人気があり、抽出とスチーミングを1台でまかなえるのが便利でしょう。
スチームの圧が強いほどきめ細かいフォームミルクを作りやすいため、購入時にはスチームの仕様を確認しておくと安心。
ミルクピッチャーは注ぎ口の形状でアートの描きやすさが変わる
ミルクピッチャーはラテアートの仕上がりを左右する道具の一つです。
注ぎ口が細くシャープな「シアトルタイプ」は、ミルクの流量をコントロールしやすくフリーポアに向いています。
注ぎ口が丸い「イタリアタイプ」はミルクが広がりやすく、ハートのような幅のあるデザインに適しています。
サイズは12oz(約350ml)のステンレス製が家庭用にちょうど良いです。
好みや描きたい模様で選ぶのがおすすめ。
エスプレッソマシンがなければミルクフォーマーでも代用できる
「まだエスプレッソマシンは手が出ない」という方でも、電動ミルクフォーマーがあればフォームミルクは作れます。
100均で手に入る電動タイプでも、温めた牛乳を泡立てて簡易的なフォームを用意できるのです。
濃いめに淹れたドリップコーヒーをエスプレッソ代わりにすれば、エッチングや簡単なフリーポアの練習にも取り組めます。
牛乳は成分無調整タイプを冷蔵庫から出してすぐ使う
スチーミングの仕上がりに影響するのが牛乳の種類です。
乳脂肪分3.5%以上の成分無調整牛乳はタンパク質と脂肪のバランスが良いため、きめ細かく安定したマイクロフォームになりやすいとされています。
冷蔵庫から出したての冷たい状態で使うと、スチーム時間に余裕が生まれ泡を整えやすくなるのもポイントです。
低脂肪タイプでも不可能ではありませんが、泡が粗くなりやすいため練習段階では成分無調整を選んでください。
底が丸く厚みのあるカップを選ぶとミルクが対流しやすい
カップ選びは意外と見落としがちですが、ラテアートの描きやすさに直結します。
底が丸みを帯びた形状のカップはミルクを注いだときに対流が起きやすく、エスプレッソとミルクが均一に混ざるのです。
6〜8oz(約180〜240ml)前後のラテボウルがラテアート向きで、LOVERAMICSやORIGAMIといったブランドはバリスタにも愛用されています。
厚みのあるカップは温度を保ちやすいため、アートを描いている間に冷めにくいのもメリットです。
オーツミルクや豆乳でもラテアートは描ける
乳製品が苦手な方やヴィーガンの方でも、植物性ミルクでラテアートを楽しめます。
オーツミルクは牛乳に近い質感が出やすく、バリスタ向けに調整された製品なら泡立ちも安定しています。
ただし65℃を超えると分離しやすいため、温度管理にはいつも以上に気をつけてください。
豆乳はエスプレッソの酸と反応して固まりやすい性質がありますが、バリスタ仕様の製品を選べばフリーポアにも使えます。
きめ細かいスチームミルクの作り方とラテアートの注ぎ方
「ラテアートの8割はミルクで決まる」という声があるほど、スチーミングの腕前は仕上がりに直結するもの。
丁寧に泡を整えるだけで模様のコントラストは見違えるほど変わるので、手順をひとつずつ確認していきましょう。
- テクスチャリングでスチームノズルの深さと空気量を調整する
- 温度は60℃前後で止めるとミルクの甘さと泡質が両立する
- ピッチャーを台に軽く叩いて大きな泡を消してから注ぐ
- カップを傾けながら液面に近づけてミルクを浮かせる
テクスチャリングでスチームノズルの深さと空気量を調整する
スチーミングには、フォーミング(空気を入れる段階)とテクスチャリング(泡を均一にする段階)の2段階があります。
フォーミングではスチームノズルを液面のすぐ下にセットし、「チチチ」という音が聞こえる位置で空気を取り込みます。
牛乳が30〜40℃に達したら、ノズルを深めに沈めて対流で泡を潰していくのがテクスチャリングの工程です。
テクスチャリングが不十分だと泡が粗いまま残り、注いだときに模様がぼやけてしまいます。
この「空気入れ→潰す」の2段階を意識するだけで仕上がりが変わるため、最初はフォーミングを短めにしてみてください。
温度は60℃前後で止めるとミルクの甘さと泡質が両立する
スチームミルクの適温は60℃前後で、甘みと泡の安定性がちょうど両立する温度帯です。
65℃を超えるとミルク特有の甘みが失われ、70℃以上ではタンパク質が変性して泡がボソボソになってしまいます。
慣れないうちはピッチャーに温度計を取り付けるか、ピッチャーの底が「熱い」と感じる手前で止めるのを目安にしてみてください。
ピッチャーを台に軽く叩いて大きな泡を消してから注ぐ
スチーミングが終わったら、ピッチャーの底を台に「トントン」と軽く打ちつけます。
この動作で残っていた泡が壊れ、表面がつやのある滑らかな状態に整います。
続けてピッチャーを円を描くように数回回すと、ミルクと泡がさらに一体化してくれるのです。
打ちつける回数は2〜3回で十分で、強く叩きすぎるとせっかくのフォームが潰れてしまうので加減が大切です。
カップを傾けながら液面に近づけてミルクを浮かせる
カップを自分の体のほうへ約30〜45度傾け、ピッチャーの注ぎ口を液面から5〜8cmの高さに構えます。
最初は高い位置から細くミルクを落とし、エスプレッソの下にミルクを潜り込ませる「キャンバス作り」がセオリーです。
カップの2/3ほどまで液面が上がったら、ピッチャーを液面ギリギリまで下げて白いミルクを浮かせましょう。
そこからハートやリーフの模様を描いていきます。
序盤で焦ってピッチャーを下げるとミルクが早く浮きすぎるため、ゆっくりと液面を持ち上げることを意識してみてください。
編集部が自宅でラテアートの種類に挑戦してみた
ここまで解説してきた技法やコツを、編集部の私たちが自宅のキッチンで試してみた結果をお届けします。
おうちカフェの延長で始めたラテアート練習の記録を、以下にまとめました。
- デロンギのエスプレッソマシンとHARIOのピッチャーで挑戦した
- ハートは約30杯めから形が安定した
- リーフは振りの速度とタイミングの調整に苦戦した
デロンギのエスプレッソマシンとHARIOのピッチャーで挑戦した
使用した機材は、デロンギの「デディカ アルテ(EC885J)」とHARIOの12oz ステンレスピッチャーです。
牛乳は近所のスーパーで買った「明治おいしい牛乳」(成分無調整・3.5%)を冷蔵庫から出してすぐ使いました。
1杯につきエスプレッソ30mlとスチームミルク170ml程度で、1日3〜5杯ペースで練習を続けた結果です。
マシンのスチーム圧は家庭用としては十分で、テクスチャリングまで問題なく行えました。
ハートは約30杯めから形が安定した
最初の10杯はミルクが全面に広がってしまい、白い円すら浮かばない状態からのスタートでした。
15杯を超えたあたりで「液面にミルクを浮かせる感覚」がつかめてきて、白い丸が出始めます。
30杯めを過ぎたころにはハートの輪郭がくっきり出るようになり、カップを傾けて写真を撮りたくなるレベルに到達できました。
リーフは振りの速度とタイミングの調整に苦戦した
ハートの次にリーフに挑戦しましたが、ピッチャーを左右に振る動作がなかなか安定しません。
振り幅が広すぎて太い波線が1〜2本できるだけで終わったり、途中で振りが止まって歪んだりする日が続きました。
50杯を超えたあたりで「振りと後退を同時に行う」感覚がつかめてきて、葉脈が3〜4段入るようになったのが印象に残っています。
ハートに比べると安定するまでに倍以上の練習量が必要だったため、焦らずじっくり取り組んでみてください。
ラテアートが上達する練習のコツと失敗しやすいポイント
「なかなかうまくいかない」と感じたときに見直したいポイントをまとめました。
少しの調整で模様が一気に変わることもあるため、一つずつ確認していきましょう。
- 水だけで練習する「水練」なら牛乳の節約にもなる
- 泡が粗いときはスチームの空気入れを短くしてみる
- 模様が左右非対称になるのはカップの角度がズレているサイン
- フレンチプレスでフォームミルクを作って練習する方法もある
水だけで練習する「水練」なら牛乳の節約にもなる
ピッチャーに水を入れてカップに注ぐ練習(通称「水練」)は、ミルクを使わずに注ぎの動きだけを繰り返せる方法です。
水に少量の食器用洗剤を加えると泡ができるため、フォームミルクに近い感覚で注ぎの練習ができます。
牛乳を使わないぶん手軽に回数を重ねられるため、たくさん練習したい初心者にはぴったりの方法です。
ミルクに移行する前に手首の動きを体に覚えさせる「イメージトレーニング」としても役立ちます。
泡が粗いときはスチームの空気入れを短くしてみる
模様がぼやけたり、泡が塊になったりする場合は、フォーミングの段階で空気を入れすぎていることがほとんどです。
スチームノズルを液面近くに保つ時間を意識的に短くし、早めにテクスチャリングに移行してみてください。
泡の量が多すぎると「カプチーノ寄り」の重たい仕上がりになり、フリーポアの模様が出にくくなります。
目安として、ミルクのかさがスチーム前の約1.2倍になった時点でフォーミングを終了するとバランスが取れます。
模様が左右非対称になるのはカップの角度がズレているサイン
ハートやリーフが片側に寄ってしまうときは、注ぎ始めのカップの傾き加減が一定でないことがほとんどです。
カップを持つ手の角度を毎回同じに保つことを意識するだけで、模様の左右対称度が上がります。
ピッチャーの注ぎ口がカップの中心からズレているケースもあるため、注ぐ前に「まん中に注ぎ口が向いているか」を確認する癖をつけてください。
模様が上半分に偏る場合はキャンバス作りの段階でミルクが足りていない合図です。
カップの容量の半分以上をキャンバスに使ってください。
フレンチプレスでフォームミルクを作って練習する方法もある
エスプレッソマシンがない環境でも、フレンチプレスがあればフォームミルクの練習に使えます。
温めた牛乳をフレンチプレスに入れ、プランジャーを20〜30回上下させるとふわふわのフォームが完成します。
濃いめに淹れたドリップコーヒーに注げば、簡易的なフリーポアやエッチングの練習もできます。
費用をかけずにまず試してみたいという方には、この方法が一番ハードルが低いでしょう。
ラテアートの種類が競われる大会とバリスタの世界
ラテアートには趣味として楽しむ以外にも、競技として技を競い合う世界が広がっています。
大会の動画を見るだけでも「こんな模様が描けるのか」と驚く場面が多いので、主な大会をご紹介します。
- JLACは日本最大のラテアート選手権で2026年も神戸で開催された
- 世界大会ではフリーポアの技術を極めたデザインが登場する
JLACは日本最大のラテアート選手権で2026年も神戸で開催された
JLACは日本スペシャルティコーヒー協会が主催する、国内最大規模のラテアートコンテストです。
2026年は神戸で開催され、connect coffee所属のバリスタ・石橋晨弥さんが優勝しました。
参加者は限られた時間の中でフリーポアのデザインを仕上げ、審査員がアートの美しさ・対称性・ミルクの質感・味わいを総合的に評価します。
観戦は無料で、バリスタの手元を間近に見学できることもあるため、ぜひ足を運んでみてください。
JLACの最新情報は、SCAJ公式サイトの競技会ページで確認できます。
世界大会ではフリーポアの技術を極めたデザインが登場する
JLACの優勝者は日本代表としてワールド ラテアート チャンピオンシップに出場します。
世界大会では、ハートやリーフの延長線上にあるさらに複雑なフリーポアデザインが次々と披露されるのが見どころです。
一つのカップに10以上のレイヤーを重ねた作品や、複数の技法を組み合わせたシグネチャーアートが登場し、フリーポアの表現力に改めて驚かされます。
大会の模様はYouTubeのSCAJ公式チャンネルで見られるため、練習の合間にチェックしてみてください。
ラテアートの種類に関するよくある質問
ラテアートの種類にまつわる疑問のなかから、特に多い6つにお答えします。
ラテアート初心者の方が気になりやすいポイントをまとめました。
自宅でもカフェのようなラテアートは描けますか?
スチーム機能つきのエスプレッソマシンと12ozのミルクピッチャーがあれば、自宅でもフリーポアのハートやリーフは描けます。
ミルクフォーマーやフレンチプレスで代用することも可能なので、まずは手持ちの道具で試してみるのがおすすめです。
フリーポアとエッチングはどちらが初心者に向いていますか?
フリーポアのハートは練習量で安定させやすいため、長期的に技術を伸ばしたい方に向いています。
一方、エッチングは注いだ後にゆっくり描けるため、すぐにかわいい模様を楽しみたい方にぴったりです。
ラテアートに向いているエスプレッソマシンの価格帯はどのくらいですか?
家庭用なら1万〜3万円台の半自動タイプで十分にラテアートの練習ができます。
デロンギのデディカ スタイル(EC685M)やデディカ アルテ(EC885J)はスチーム機能がしっかりしており、エントリーモデルとして人気です。
牛乳以外のオーツミルクや豆乳でもラテアートは描けますか?
バリスタ向けに調整されたオーツミルクなら、牛乳に近い質感のフォームミルクが作れます。
ただし65℃を超えると分離しやすいため、温度管理には注意が必要です。
豆乳はエスプレッソの酸で固まりやすいので、バリスタ仕様の製品を選ぶと描きやすくなります。
ラテアートの練習に必要な期間はどのくらいですか?
個人差はありますが、毎日1〜3杯の練習を続けた場合、ハートは2〜4週間で形が安定するケースが多いです。
リーフやチューリップはさらに1〜2か月ほどかかるのが一般的です。
ラテアートとデザインカプチーノは何が違いますか?
フリーポア(注ぐ動作で描く)をラテアート、ピックやソースで描くスタイルをデザインカプチーノと呼ぶ場合があります。
ただし現在はどちらもまとめて「ラテアート」と呼ぶのが一般的です。
【まとめ】ラテアートの種類を知ればおうちカフェの楽しみ方が広がる
ラテアートの種類を技法・デザイン別に見てきましたが、知れば知るほど「自分でも試してみたい」という気持ちが湧いてきたのではないでしょうか?
フリーポアのハートから始めて、リーフやチューリップへとステップアップしていく過程はコーヒーの楽しみ方そのものを広げてくれます。
エッチングや3Dラテアート、カラーラテアートまで手を伸ばせば、カップの上の表現はどこまでも広がっていくものです。
まずはスチーム機能つきのマシンとピッチャーを用意して、今日から1杯目のハートに挑戦してみてください。
- ラテアートの技法はフリーポア・エッチング・3D・ステンシルの4種類
- フリーポアのデザインはハート→リーフ→チューリップ→スワンの順で難易度が上がる
- スチーム機能つきマシンと12ozピッチャーがあれば自宅で始められる
- テクスチャリングと60℃前後の温度管理がミルクの仕上がりを決める
- 水練やフレンチプレスならマシンなしでも練習できる
- 編集部の体験ではハートは約30杯で安定した
- JLACやWLACなどの大会を観ると練習のモチベーションが上がる
