純喫茶とは?喫茶店・カフェとの違いから楽しみ方まで早わかり

  • URLをコピーしました!
この記事は約 3分 で読めます

「純喫茶」という言葉を目にしたけれど、ふつうの喫茶店やカフェと何が違うのだろうと疑問に感じたことはありませんか?

純喫茶とは、お酒を出さず「純粋にコーヒーや紅茶を楽しむ」ための喫茶店を指す言葉です。

昭和初期に登場した呼び名で、いまも東京・大阪・名古屋を中心に根強い人気を集めています。

この記事では純喫茶の意味や歴史、定番メニュー、おうちカフェでの楽しみ方までをひとつずつ整理しました。

この記事でわかること
  • 「純」は特殊喫茶と区別するために昭和初期に添えた一文字で、お酒を出さない店だけを指す
  • 喫茶店営業許可は2021年6月に廃止。現在は全店が飲食店営業許可で統一されている
  • 純喫茶の三大定番はクリームソーダ・ナポリタン・ホットケーキの3つ
  • 一杯ずつサイフォンやネルドリップで手淹れするからチェーン店にはない味わいが生まれる
  • SNSの「レトロかわいい」ブームが若い世代の来店を後押ししている
  • 2026年3月時点でさぼうるやカフェ・ド・ランブルなどの有名店も営業を続けている
  • 自宅でもネルドリップとレトロ食器を揃えれば純喫茶気分を味わえる
目次

純喫茶とは?「純」に込められた意味を解説

純喫茶という呼び名には、ある時代背景が関わっています。

明治から昭和にかけてのコーヒー文化の変遷を追っていきます。

純喫茶の「純」の意味
  • 純喫茶の「純」はお酒を出さない「純粋な喫茶店」を指す
  • 昭和初期に「特殊喫茶」と区別するために生まれた呼び名

純喫茶の「純」はお酒を出さない「純粋な喫茶店」を指す

純喫茶の「純」は、酒類を扱わず、コーヒーや紅茶だけを出す「純粋な喫茶店」という意味を持っています。

明治末期から大正にかけて、日本各地に「カフェー」と呼ばれる店が広まりました。

当初はコーヒーを飲める洋風の社交場でしたが、やがて女給と呼ばれる接客係を置き、酒類も出す業態へと変わっていきます。

そうした流れのなかで「うちはお酒を出さない、コーヒーだけの店です」と宣言するために「純」が添えられたのです。

昭和初期に「特殊喫茶」と区別するために生まれた呼び名

もし昭和初期の街を歩いていたら、看板に「純喫茶」と大きく書かれた店を必ず見かけたはずです。

1929年(昭和4年)に東京で施行された「カフェー等取締要項」は、酒類と女給の接待を伴う店を「特殊喫茶」として規制の対象としました。

お酒を出さない喫茶店に「純」を冠する動きは、この規制がきっかけで加速していきました。

なお、特殊喫茶はのちに風俗営業法の規制対象にもなり、純喫茶とは完全に別の業態として扱われるようになります。

以降「純喫茶」は、コーヒーと静かな空間だけを売りにする店を表す言葉として広く使われていきます。

編集部

「純喫茶」の「純」にはお酒と無縁な真面目さが詰まっています。
看板を見るだけで、マスターのこだわりが伝わってくるようです。

純喫茶とはいつ生まれた?可否茶館から全盛期までの歴史

日本に初めて本格的なコーヒー店が誕生したのは明治時代にさかのぼります。

そこから昭和の全盛期に至るまでの流れを時系列で追っていきます。

純喫茶の歴史
  • 1888年に可否茶館が誕生し喫茶文化の幕が開いた
  • 1955年から1975年にかけて純喫茶は全盛期を迎えた

1888年に可否茶館が誕生し喫茶文化の幕が開いた

1888年(明治21年)、東京・上野に「可否茶館(かひさかん)」が開店しました。

日本初の本格的なコーヒー店とされ、ここから国内の喫茶文化がスタートします。

可否茶館はわずか数年で閉店してしまいましたが、その後も銀座や神田を中心にコーヒーを出す店が増えていきました。

大正時代には知識人や学生が集うサロンとしても親しまれ、コーヒーは「ハイカラな飲み物」として認知が広がったのです。

1955年から1975年にかけて純喫茶は全盛期を迎えた

戦後の復興が進んだ1955年ごろから、日本各地で喫茶店が爆発的に増え始めます。

高度経済成長の波に乗り、1960年代から70年代にかけて「駅前に何軒もの喫茶店が並ぶ」風景が定番でした。

マスターが一杯ずつ豆を挽き、サイフォンやネルドリップで淹れるスタイルもこの時期に確立されます。

全日本コーヒー協会の統計資料によると、1981年から1982年にかけてはピーク時で全国に約16万店もの喫茶店が営業しており、黄金時代と呼べる活況でした。

純喫茶とは何が違う?喫茶店・カフェとの3つの差

「純喫茶」「喫茶店」「カフェ」はどれも似たイメージを持たれがちです。

しかし法律や雰囲気にはっきりとした差がありますので、3つの視点から整理していきます。

純喫茶・喫茶店・カフェの違い
  • 営業許可と酒類の扱い方が法律上で分かれていた
  • 2021年の食品衛生法改正で「喫茶店営業」は廃止された
  • 内装や雰囲気の傾向は三者で大きく異なる
  • メニューの種類と価格帯も三者三様

営業許可と酒類の扱い方が法律上で分かれていた

かつて日本には「飲食店営業許可」と「喫茶店営業許可」という2つの許可制度がありました。

喫茶店営業許可はアルコール販売と加熱調理を原則禁止する代わりに、取得しやすいのが特徴です。

一方の飲食店営業許可はアルコール販売も火を使った本格調理もでき、カフェや居酒屋がこちらを取得していました。

純喫茶は前者の許可で営業する店が大半だったため、「お酒を扱わない」という線引きが法的に裏づけられていたのです。

2021年の食品衛生法改正で「喫茶店営業」は廃止された

2021年6月1日の食品衛生法改正によって、「喫茶店営業許可」は廃止され「飲食店営業許可」に一本化されました。

法律上は純喫茶もカフェも同じ許可で営業している状態です。

ただし看板に「純喫茶」と掲げ続ける店は多く、いまもこの言葉は「お酒を出さないコーヒー専門の店」を示す文化的な符号として使われ続けています。

📝 営業許可の変遷まとめ

2021年以前は喫茶店営業許可(酒類・加熱調理不可)と飲食店営業許可の二本立てでした。
改正後はすべて飲食店営業許可に統合されましたが、実態として純喫茶は酒類を置かないスタイルを維持しています。

内装や雰囲気の傾向は三者で大きく異なる

店内に足を踏み入れた瞬間の空気が、三者ではまるで違います。

純喫茶 喫茶店(一般) カフェ
内装 木目調家具、アンティーク照明 和洋折衷、多様 モダン、ミニマル
BGM ジャズ、クラシック 店舗による ポップス、BGMなし
客層 幅広い年代 常連中心 若い世代も多い
特徴 マスターとの距離が近い 地域密着 Wi-Fi・電源完備

純喫茶はダークブラウンの木目と真鍮ランプシェードに包まれた昭和の応接室のような空間が特徴で、カフェチェーンとのいちばんの違いでしょう。

メニューの種類と価格帯も三者三様

コーヒー1杯で比べると、純喫茶は500円から800円が相場です。

チェーンカフェは300円から500円前後、個人カフェは450円から700円前後ですので、純喫茶はやや高めの価格帯に入ります。

ただしこの価格には、一杯ずつ手で淹れるコーヒーと時間を忘れて過ごせる空間が含まれています。

フードメニューもナポリタンやプリンアラモードなど昔ながらの品が中心で、カフェのようなアサイーボウルやスムージーは見かけません。

純喫茶とはどんな空間?雰囲気と内装の特徴

ドアを開けた瞬間、コーヒーの香りとジャズの旋律に包まれる。

それが純喫茶の空間です。

居心地のよさを支える3つの要素を見ていきます。

純喫茶らしい空間の特徴
  • ダークブラウンの木目調家具とアンティーク照明が定番
  • カウンター席が中心でマスターとの距離が近い
  • BGMはジャズやクラシックが多く静かに過ごせる

ダークブラウンの木目調家具とアンティーク照明が定番

純喫茶に入ると、まず目に飛び込んでくるのは重厚なダークブラウンのテーブルと椅子、そして天井から下がるアンティーク調の照明です。

創業時のまま残されたタイルや額装された絵画が飾られ、チェーン店では出せない独自の世界観を形づくっています。

光沢を帯びた木のカウンターは何十年ものあいだ拭き込まれてきたもの。

座るだけで歴史の重みを肌で感じられます。

カウンター席が中心でマスターとの距離が近い

テーブル席よりもカウンター席を多く設ける純喫茶はよくあります。

目の前でマスターがサイフォンの炎を見つめコーヒーを淹れる姿は、カウンターならではの体験です。

常連が隣に座ってマスターを交えた会話が弾む光景は、純喫茶が「コーヒーだけでなく人との距離感を楽しむ場所」であることを物語っています。

「マスター」と「バリスタ」

純喫茶では店主を「マスター」と呼ぶのが一般的です。
カフェでは「バリスタ」が定番ですが、呼び名の違いにも文化の差がにじんでいます。

BGMはジャズやクラシックが多く静かに過ごせる

昭和の純喫茶では、スピーカーからジャズやクラシックが静かに流れています。

「名曲喫茶」と呼ばれるジャンルでは大音量でクラシックを楽しむ店もありましたが、多くの純喫茶は会話の邪魔にならない音量で音楽をかけ、読書や物思いにふける時間を守ってくれます

スマートフォンの通知音すら気になるほど静かで、日常から離れたい人にとって何よりの贅沢ではないでしょうか?

純喫茶の定番メニューはこれ!フード&ドリンク8選

純喫茶に来たら何を頼めばいいか迷う方も多いはずです。

ここでは初めてでも安心して注文できる定番を8つ取り上げていきます。

純喫茶で味わいたいメニュー8つ
  • クリームソーダは緑のソーダとバニラアイスの王道
  • ナポリタンはケチャップ味の太麺が懐かしい一皿
  • プリンアラモードは固めプリンとフルーツの盛り合わせ
  • ホットケーキは銅板で焼く昔ながらの厚焼きスタイル
  • ミックスサンドは卵・ハム・野菜の三種盛りが定番
  • 小倉トーストはバターとあんこの名古屋発祥メニュー
  • オムライスはケチャップライスと薄焼き卵の黄金コンビ
  • ウィンナーコーヒーはホイップのせで甘く仕上げた一杯

クリームソーダは緑のソーダとバニラアイスの王道

鮮やかなメロングリーンのソーダ水に白いバニラアイスが浮かぶクリームソーダは、純喫茶を象徴するドリンクです。

炭酸の泡がグラスの内側を駆け上がり、アイスが少しずつ溶けて層になっていくさまは見た目にも楽しめます。

最近はSNS映えする一杯としてZ世代にも人気が広がり、クリームソーダ目当てに純喫茶を巡る若者も増えました。

ナポリタンはケチャップ味の太麺が懐かしい一皿

太めの麺にたっぷりのケチャップソースを絡めたナポリタンは、純喫茶のフードメニューの代名詞です。

ピーマン、玉ねぎ、ソーセージと一緒に鉄板や皿の上に盛り付けられ、店によっては薄焼き卵を敷いた「鉄板ナポリタン」もあります。

本場イタリアには存在しない日本独自の洋食文化であり、昭和の食卓を体験したいなら外せない一品です。

プリンアラモードは固めプリンとフルーツの盛り合わせ

しっかり焼き固めたカスタードプリンを中央に据え、ホイップクリーム、バナナ、チェリー、缶詰のみかんなどを華やかに盛り付けたのがプリンアラモードです。

見た目のボリュームに圧倒されますが、ひとつひとつは軽い甘さなので食べ進めるうちにちょうどよいバランスになります。

「かためプリン」のブームとともに純喫茶のプリンが再評価されている点にもご注目ください。

ホットケーキは銅板で焼く昔ながらの厚焼きスタイル

パンケーキブームより遥か前から、純喫茶にはホットケーキがありました。

銅板は熱伝導率がとても高く、生地全体に均一に火が通るため外はサクッと、中はしっとりふわふわに焼き上がります。

マーガリンではなくバターを添え、メープルシロップを回しかけて食べるのが昔ながらのスタイルです。

編集部

編集部でも近所の純喫茶で銅板ホットケーキを注文してみました。
表面のきれいな焼き色と、ナイフを入れたときのふわっとした弾力は家庭のフライパンでは出せません。

ミックスサンドは卵・ハム・野菜の三種盛りが定番

持ちやすい三角カットのサンドイッチが3種類並ぶミックスサンドは、ランチタイムの人気メニューです。

玉子サラダ、ハム&レタス、ツナの3種が基本ですが、店によってはカツサンドやフルーツサンドも加わります。

飲み物と合わせて1,000円前後なので、落ち着いた空間でのランチとしてはお手頃といえます。

小倉トーストはバターとあんこの名古屋発祥メニュー

バターをたっぷり塗った厚切りトーストに粒あんをのせる小倉トースト――この組み合わせは、1921年に名古屋市の喫茶店「満つ葉」で誕生したとされています。

バターの塩気とあんこの甘さは一見意外な組み合わせですが、食べてみるとコーヒーの苦みと抜群に合います。

名古屋ではモーニングサービスでも定番の一品として親しまれています。

オムライスはケチャップライスと薄焼き卵の黄金コンビ

純喫茶の洋食メニューの花形といえば、ケチャップで味付けしたチキンライスを薄焼き卵でくるんだオムライスでしょう。

仕上げにケチャップで文字や絵を描いてくれる店もあり、SNS映えする一皿としてもう一度注目が集まっています。

ふわとろスタイルではなく、しっかり焼いた卵で包むのが純喫茶ならではの仕上げでしょう。

ウィンナーコーヒーはホイップのせで甘く仕上げた一杯

濃いめに淹れたコーヒーの上にたっぷりのホイップクリームを浮かべたウィンナーコーヒーは、日本独自の呼び名で「ウィーン風コーヒー」が語源です。

本場オーストリアでは「アインシュペナー」と呼ばれ、馬車の御者がコーヒーの温度を保つために始めたといわれています。

ホイップを崩さずにコーヒーと交互に飲むか、全体をかき混ぜてまろやかにするかはお好みでどうぞ。

純喫茶のコーヒーが美味しい理由は豆と抽出のこだわりにある

チェーン店のコーヒーとは一線を画すのが、純喫茶の一杯です。

その味わいを支える3つのポイントを掘り下げていきます。

純喫茶のコーヒーが美味しい理由
  • サイフォンやネルドリップで一杯ずつ丁寧に淹れる
  • 深煎りブレンドが主流でコクと苦みのバランスが良い
  • 自家焙煎や産地指定で個性を出す店も増えている

サイフォンやネルドリップで一杯ずつ丁寧に淹れる

注文が入ってから豆を挽き、サイフォンやネルドリップで1杯ずつ淹れる。

これが純喫茶コーヒーの基本です。

サイフォンは蒸気圧で湯を押し上げて抽出する器具で、すっきりとした香ばしい味に仕上がります。

ネルドリップは布製フィルターを使うため、ペーパーでは取り除かれるコーヒーオイルが残り、なめらかなコクを楽しめます。

どちらの方法も手間はかかりますが、その分だけ一杯の味に想いが宿るのです。

サイフォンとネルドリップの違い
サイフォン ネルドリップ
抽出原理 蒸気圧で湯を移動させる 重力で湯を通す
味の傾向 すっきり、香ばしい まろやか、コク深い
お手入れ ガラス器具の洗浄 布フィルターの保管(水に漬ける)

深煎りブレンドが主流でコクと苦みのバランスが良い

純喫茶でよく出されるのは、フルシティからフレンチロースト程度まで焙煎を進めた深煎りブレンドでしょう。

浅煎りの華やかな酸味よりも、ビターチョコレートのような苦みとしっかりしたコクが好まれているのが理由のひとつです。

砂糖やミルクを入れてもコーヒーの存在感が薄れないのも深煎りの強みで、ウィンナーコーヒーやカフェオレとも好相性です。

自家焙煎や産地指定で個性を出す店も増えている

近年はスペシャルティコーヒーの流れを受けて、自家焙煎を行う純喫茶も増えてきました。

エチオピアやグアテマラなど産地ごとの風味の違いを楽しめるシングルオリジンを扱う店もあれば、創業以来同じブレンド比率を守り続ける老舗もあります。

どちらが正解ということはなく、店ごとのこだわりを飲み比べてみてください。

編集部

個人的にはネルドリップの深煎りブレンドが好みです。
口に含んだときのまろやかさと、あとから広がるほのかな甘みはネルならではの味わいだと感じています。

純喫茶とはなぜ今ブーム?若者がレトロ空間に惹かれる理由

1960年代から70年代に最盛期を迎えた純喫茶が、2020年代のいまふたたび脚光を浴びているのはなぜでしょうか?

4つの背景から読み解いていきます。

純喫茶ブームの背景
  • SNSで「レトロかわいい」が広まりインスタ映えスポットに
  • 昭和を知らない世代にとっては新鮮な非日常体験
  • おうち時間を経て対面の居場所を求める空気がある
  • 純喫茶をテーマにした商品やメディア露出も増加中

SNSで「レトロかわいい」が広まりインスタ映えスポットに

Instagramで「#純喫茶」と検索すると、クリームソーダの写真やアンティーク家具の内装が次々に表示されます。

「レトロかわいい」という言葉がZ世代の間で広まり、わざわざ昭和の雰囲気が残る純喫茶まで足を運ぶ若者が急増しました。

メロングリーンのクリームソーダやステンドグラス風の内装は、撮影スポットとしても人気を集めています。

昭和を知らない世代にとっては新鮮な非日常体験

平成生まれ以降にとって、昭和のインテリアは「懐かしい」のではなく「まったく新しい」体験です。

真空管ラジオやダイヤル式の電話、型ガラスの窓といったアイテムはどれも日常では目にしないものばかり。

チェーン店のように均一化されていない「一店一店が違う世界」を楽しめるのが、若い世代を惹きつけている理由のひとつです。

おうち時間を経て対面の居場所を求める空気がある

コロナ禍で自宅時間が増えたことで、かえって「家の外にある落ち着ける居場所」を求める人が増えました。

Wi-Fiが完備されたカフェチェーンとは違い、純喫茶は「スマホを手放して一杯のコーヒーと向き合う」時間を与えてくれる場所です。

騒がしい空間に疲れた人が静かなカウンターに座るとホッとする、という声はSNS上でも多く見られます。

純喫茶をテーマにした商品やメディア露出も増加中

テレビ番組「飯尾和樹のずん喫茶」や「マツコの知らない世界」では純喫茶が繰り返し特集され、放送のたびに検索数が跳ね上がっています。

コンビニスイーツに「純喫茶風プリン」「昭和レトロクリームソーダ」といった商品が並ぶのも、ブームの波及効果です。

2026年3月時点でも純喫茶をテーマにしたイベントや書籍が次々と登場しており、トレンドの勢いは衰えていません。

ブームの裏で純喫茶の店舗数は減少中?全盛期からの推移

ブームの裏側にはシビアな現実もあります。

店舗数の変化を3つの時代に分けて見ていきます。

純喫茶の店舗数の変化
  • 1981年から1982年のピーク時には約16万店が存在した
  • 経営者の高齢化やチェーンカフェの台頭で半数以下に
  • レトロブームで注目されるものの個人店の閉店は続いている

1981年から1982年のピーク時には約16万店が存在した

総務省の統計によると、喫茶店の施設数は1981年から1982年にかけて約15万4,000店から16万店に達し、ピークを記録しました。

駅前や商店街のどこを歩いても喫茶店の看板があった時代で、サラリーマンの打ち合わせも学生のたまり場もすべて喫茶店だったのです。

経営者の高齢化やチェーンカフェの台頭で半数以下に

1990年代以降、ドトールやスターバックスといったチェーンカフェが急成長し、個人経営の喫茶店は競争力を失っていきます。

開業当時から店に立ち続けてきたマスターの高齢化や後継者不足も深刻で、やむなく閉店を選ぶケースが相次ぎました。

2020年代には全盛期の半数以下にまで店舗数が落ち込んだとされています。

レトロブームで注目されるものの個人店の閉店は続いている

SNSでの純喫茶ブームは来客数の増加に貢献しているものの、それだけで経営が安定するわけではありません。

家賃の高騰や原材料費の値上がり、マスター自身の体力面もあり、「話題になる前に閉店してしまった」というケースは珍しくないのが現状です。

気になる純喫茶があれば、なるべく早めに足を運んでおくのがおすすめです。

閉店情報は事前にチェック

老舗の純喫茶は予告なく閉店する場合があります。
訪問前にSNSや口コミサイトで最新の営業情報を確認してください。

東京・大阪・名古屋で訪れたい純喫茶の名店

初めての純喫茶巡りにおすすめのエリア別名店を、3つの都市から厳選してまとめました。

それぞれの店の個性と魅力を見ていきます。

エリア別の名店
  • 東京はさぼうる(神保町)やカフェ・ド・ランブル(銀座)が有名
  • 大阪は純喫茶アメリカン(なんば)や丸福珈琲店(千日前)が老舗
  • 名古屋はコンパル(大須)でモーニング文化を体感できる

東京はさぼうる(神保町)やカフェ・ド・ランブル(銀座)が有名

東京で純喫茶といえば、まず名前が上がるのは千代田区・神保町にある「さぼうる」です。

古書店街のなかに佇むこの店は緑色のクリームソーダで知られ、2026年現在も多くの来客でにぎわっています。

銀座の「カフェ・ド・ランブル」は1948年創業のネルドリップ専門店で、コーヒー豆を10年以上熟成させた「オールドコーヒー」を味わえます。

どちらも東京を訪れたら一度は足を運んでほしい名店です。

大阪は純喫茶アメリカン(なんば)や丸福珈琲店(千日前)が老舗

大阪の「純喫茶アメリカン」は1946年創業です。

豪華なシャンデリアが吊るされた店内は「生きた建築ミュージアム・大阪セレクション」にも選ばれたほどの空間。

千日前の「丸福珈琲店」は、濃厚な自家焙煎コーヒーと固めのプリンで知られる老舗です。

どちらの店も2026年3月時点で営業中であることを確認しています。

名古屋はコンパル(大須)でモーニング文化を体感できる

名古屋の喫茶文化を代表するのは「コンパル」の大須本店です。

ドリンクを注文するとトーストやゆで卵が付いてくるモーニングサービスは、名古屋を訪れたら必ず体験したい喫茶文化のひとつ。

エビフライサンドなど名古屋らしいメニューも充実しており、朝から満足度の高い食事が楽しめます。

初めてでも居心地よく過ごせる純喫茶の楽しみ方

興味はあるけれど「敷居が高そう」と感じている方もいるのではないでしょうか?

初訪問のコツを3つにまとめましたので参考にしてみてください。

初めての純喫茶を楽しむポイント
  • 入店のマナーと注文の流れを知っておくと安心
  • 一人でも気まずくない「カウンター席」を選ぶとよい
  • スマホを置いて店内のインテリアや音楽を味わう

入店のマナーと注文の流れを知っておくと安心

純喫茶には特別なドレスコードはありません。

ドアを開けて「いらっしゃいませ」の声が聞こえたら空いている席に座り、メニュー表を手に取ります。

注文はマスターや店員に声をかける昔ながらのスタイルが多いため、タッチパネルに慣れた世代でも「人と話す楽しさ」を味わえるのが純喫茶のよいところです。

一人でも気まずくない「カウンター席」を選ぶとよい

初めての一人訪問で気後れしてしまうなら、迷わずカウンターへ座ってみてください。

マスターと顔を合わせる距離なので、おすすめのコーヒーやメニューを手軽に尋ねられます。

常連との間に自然な会話が生まれることもあり、居酒屋のカウンターに近い気楽さがあるのです。

スマホを置いて店内のインテリアや音楽を味わう

純喫茶に来たら、あえてスマホをカバンにしまってみてください。

天井の梁や古時計、スピーカーから流れるジャズのピアノラインなど、ふだんは気に留めないディテールに目を向けると1時間が気づかないうちに過ぎていくはずです。

コーヒーが少しずつ冷めていくのを感じながら、ぼんやり過ごす。

そんな時間こそ純喫茶の本当の楽しみ方です。

編集部

初めて純喫茶に行ったときは緊張しましたが、マスターの「ゆっくりしていってね」のひと言で一気にリラックスできました。

おうちカフェで純喫茶気分を再現する方法

近くに純喫茶がない方や、自宅でもあの雰囲気を味わいたい方へ向けて、取り入れやすいアイデアをまとめました。

3つのステップで純喫茶の世界観に近づけていきます。

自宅で純喫茶気分を楽しむ方法
  • ネルドリップやサイフォンで淹れるとお店の味に近づく
  • クリームソーダやナポリタンは自宅でも手軽に作れる
  • レトロな食器や照明を取り入れると雰囲気が一気に変わる

ネルドリップやサイフォンで淹れるとお店の味に近づく

自宅で純喫茶の味を楽しみたいなら、抽出器具をネルドリップかサイフォンに替えてみるのが一番の方法です。

ネルドリップ用の布フィルターは1,000円前後から手に入り、管理さえ怠らなければ繰り返し使えます。

深煎りの豆をやや粗めに挽きゆっくりとお湯を注ぐだけで、ペーパードリップとは別次元のなめらかな口当たりが生まれるので、ぜひ試してみてください。

クリームソーダやナポリタンは自宅でも手軽に作れる

自宅クリームソーダの作り方はとてもシンプルです。

  1. 1

    緑のメロンシロップ30mlをグラスの底に入れる

  2. 2

    炭酸水を静かに注いで7分目まで満たす

  3. 3

    バニラアイスを1スクープのせて完成

ナポリタンも太めのパスタを少し柔らかめにゆでてみてください。

ケチャップをしっかり絡めれば、家庭でも十分に純喫茶の味を楽しめます。

レトロな食器や照明を取り入れると雰囲気が一気に変わる

味だけでなく空間も近づけたいなら、琥珀色のガラスカップやホーロー製のキャニスターを揃えるだけで部屋の印象が一変します。

デスクライトを暖色系のLEDに変えるのも手軽なアレンジです。

フリマサイトやアンティークショップでは数百円からレトロ食器が見つかるので、少しずつ集めてみてはいかがでしょうか?

純喫茶に関するよくある質問

ここでは純喫茶についてよく寄せられる8つの疑問にお答えします。

気になる項目をチェックしてみてください。

Q

純喫茶と喫茶店は同じ意味ですか?

A

厳密には異なります。

「喫茶店」はコーヒーや軽食を出す店の総称ですが、「純喫茶」は酒類を扱わない喫茶店だけを指す言葉です。

ただし2021年の法改正で営業許可が統合されたため、法律上の区別はなくなっています。

Q

純喫茶にはお酒のメニューはありますか?

A

原則としてありません。

「純」の字はお酒を出さない意味であり、アルコールを扱わない店がほとんどです。

ただし法的な制限がなくなった現在、ごく一部の店でクラフトビールなどを出すケースも見られます。

Q

純喫茶の「モーニング」とはどんなサービスですか?

A

ドリンクを注文するとトーストやゆで卵が無料(または安価)で付いてくるサービスです。

名古屋を中心に東海地方で特に盛んで、小倉トーストやサラダが付く豪華なモーニングを出す店もあります。

Q

純喫茶はいつ頃から減り始めたのですか?

A

1980年代前半をピークに減少に転じました。

チェーンカフェの台頭やコンビニコーヒーの普及、そして経営者の高齢化が主な理由です。

Q

純喫茶を開業するにはどんな許可が必要ですか?

A

2021年の食品衛生法改正以降は「飲食店営業許可」を取得すれば開業できます。

以前のように「喫茶店営業許可」を別途取る必要はなくなりました。

加えて、防火管理者の選任や保健所の立ち入り検査など一般的な飲食店と同じ手続きが必要です。

Q

純喫茶のコーヒーが美味しいのはなぜですか?

A

マスターが一杯ずつサイフォンやネルドリップで丁寧に抽出しているためです。

深煎り豆を使い、注文後に挽くことで香りと鮮度が保たれています。

大量抽出のチェーン店にはない個人の技術と経験が味に直結しています。

Q

純喫茶の読み方や英語での言い方は?

A

読み方は「じゅんきっさ」です。

英語では “traditional Japanese coffee shop” や、”pure coffee shop” と訳されます。

近年は “jun-kissa” とそのまま表記されるケースも増えてきました。

Q

純喫茶で写真を撮ってもよいですか?

A

多くの店では撮影可能ですが、事前にマスターや店員にひと声かけるのがマナーです。

フラッシュ撮影や動画の長時間撮影は他のお客さんの迷惑になりやすいため控えてください。

撮影禁止の店もあるので、入店時に確認しておくと安心です。

【まとめ】純喫茶とは「一杯のコーヒーと静かな時間」を味わう場所

純喫茶とは、お酒を出さず「純粋にコーヒーを楽しむ」ために昭和初期に生まれた喫茶店の形です。

2021年の法改正で営業許可の区分はなくなりましたが、マスターが一杯ずつ淹れるこだわりと昭和レトロな空間は健在。

SNSの「レトロかわいい」ブームで若い世代にも人気が広がり、2026年のいまも多くの名店が灯りを灯し続けています。

この記事のポイントまとめ
  • 「純」は昭和初期にお酒を出す特殊喫茶と区別するために添えた一文字
  • 喫茶店営業許可は2021年に廃止され飲食店営業許可に一本化された
  • クリームソーダ・ナポリタン・ホットケーキが純喫茶の三大定番
  • サイフォンやネルドリップの手淹れが純喫茶コーヒーのおいしさの源
  • 全盛期の約16万店から減少しているが、ブームで来客は増加傾向
  • さぼうる・カフェ・ド・ランブル・丸福珈琲店は2026年3月時点で営業中
  • 自宅でもネルドリップとレトロ食器を揃えれば純喫茶気分を楽しめる
✍ この記事を書いた人

うちカフェマイスター編集部

おうちで手軽に楽しめるコーヒーの情報を発信中。豆選びや淹れ方、健康との付き合い方まで幅広くお届けします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次