カフェのメニューで必ず見かける「エスプレッソとアメリカーノ」。
名前は似ていませんが、実は切っても切れない深い関係にある2つのコーヒードリンクです。
「アメリカーノってただの薄いコーヒーじゃないの?」
「ドリップコーヒーと何が違うの?」
日常的にコーヒーを飲む方でも、意外とその違いを正確に答えられる人は少ないはず。
朝の目覚ましにはエスプレッソ、仕事中の水分補給にはアメリカーノと使い分けるのが個人的なおすすめの飲み方です。
本記事では、2つのドリンクの決定的な違いから、カフェイン量やカロリーの比較まで詳しく読み解いていきます。
似ているメニューとの見分け方や、自宅で本格的な味を楽しむ黄金比もお伝えしていくので、毎日のカフェタイムがさらに充実するはずです。
- エスプレッソは高い気圧をかけて濃厚な原液を一気に抽出する
- アメリカーノはそのエスプレッソをお湯で割って飲みやすく仕上げる
- お湯を加えているだけなのでカロリーや総カフェイン量は全く同じである
エスプレッソとアメリカーノの基本的な特徴と抽出方法
まずは、2つのドリンクの基本的な定義と抽出の仕組みから確認します。
それぞれの特徴を知ることで、カフェでのオーダーがもっと楽しくなると思うので、一緒に確認していきましょう。
- エスプレッソは圧力をかけて抽出する濃厚なコーヒー
- アメリカーノはエスプレッソをお湯で割った飲みやすい一杯
- 使うコーヒー豆の特徴や専用の抽出器具は基本的に同じ
エスプレッソは圧力をかけて抽出する濃厚なコーヒー
エスプレッソは、専用のマシンを用いて約9気圧という強い圧力をかけ、短時間で一気に抽出するスタイルのコーヒーです。
凝縮された濃厚でトロッとした舌触りに加え、表面に浮かぶ「クレマ」という黄金色の泡が、コーヒーの芳醇な香りをフタのように閉じ込めてくれます。
クレマはコーヒー豆の鮮度が良いほど厚く形成され、口当たりをまろやかにする重要な要素として知られています。
アメリカーノはエスプレッソをお湯で割った飲みやすい一杯
アメリカーノ(カフェ・アメリカーノ)は、抽出した純粋なエスプレッソに直接お湯を注いで割ったドリンクです。
特有の豊かな風味や深いコクを活かしつつ、すっきりと飲みやすい濃さに変わるため、「苦すぎてそのままでは飲めない」という方でもブラックで美味しく味わうことができます。
使うコーヒー豆の特徴や専用の抽出器具は基本的に同じ
「違う飲み物なのに、材料は同じなの?」と疑問に思いませんか?
ベースとなるコーヒー液は全く同じものです。
深煎りと浅煎りの違いは?味・香り・淹れ方で選ぶコーヒー焙煎度早わかりの記事も、合わせてご覧ください。
つまり、抽出後のカップにお湯を足すかどうかが、エスプレッソとアメリカーノを分ける決定的な違いです。
カフェのメニューで迷った際は、「濃厚な原液」か「飲みやすく割ったもの」かで選んでみてください。
エスプレッソとアメリカーノのカフェイン量やカロリーはどう違う?
味わいは異なりますが、健康やダイエットを気にする方にとって成分の違いも気になるところではないでしょうか?
この章では、多くの方が気になるカフェイン量とカロリーについて詳しく解説します。
- お湯で割るだけのため1杯あたりの総カフェイン量は同じ
- ブラックで飲む限りカロリーは変わらずダイエット向き
- アメリカーノは飲みやすいためカフェインの過剰摂取に注意
お湯で割るだけのため1杯あたりの総カフェイン量は同じ
結論からお伝えすると、1杯あたりに含まれる総カフェイン量は両者で変わりません。
アメリカーノはお湯を足して全体の体積を増やしているだけであり、コーヒー成分の絶対量を減らしているわけではないのです。
一般的なエスプレッソシングルショット(約30ml)のカフェイン量は約63mgとされています。
出典:農林水産省 カフェインの過剰摂取について
この1ショットに120mlのお湯を注いで150mlのアメリカーノを作った場合でも、カフェインの総摂取量はそのまま約63mgとなります。
カフェイン量の詳細データ
ダブルショット(2杯分)で作るアメリカーノの場合は、当然カフェイン量も倍の約126mgに跳ね上がります。
お店のレシピによってベースとなるショット数が異なるため、気になる方は直接店舗のバリスタに確認すると安心です。
ブラックで飲む限りカロリーは変わらずダイエット向き
カロリーに関しても、両者で差が生じることはなく気にする必要がありません。
エスプレッソ1杯(約30ml)のカロリーは約2〜3kcalであり、これにカロリーゼロなお湯を足しても総カロリーは一定のままです。
そのため、ミルクや砂糖を追加しないブラックの状態であれば、ダイエット中でも罪悪感を抱かずに楽しめる最高の一杯になります。
コーヒーに含まれるクロロゲン酸などのポリフェノールを摂取しつつ、カロリーをほぼゼロに抑えられるのは嬉しいところです。
アメリカーノは飲みやすいためカフェインの過剰摂取に注意
成分量は同じだとしても、飲みやすさゆえの「総摂取量の無意識な増加」には十分な配慮が必要です。
エスプレッソは量が少なく苦味が強烈なため、1日に何杯も立て続けにがぶ飲みする人はあまり多くありません。
しかし、アメリカーノはすっきりと喉越しが良いため、巨大なボトルに入れて気付かぬうちにカフェインを取りすぎてしまうリスクがあります。
厚生労働省の食品に含まれるカフェインに関する情報でも注意喚起されているように、自身の体調に合わせて飲む量をしっかり調節してください。
エスプレッソやアメリカーノとよく似たコーヒードリンクとの違い
エスプレッソやアメリカーノの他にも、カフェには似たような名前のメニューがいくつも並んでいます。
それぞれの特色を知ることで、自分の好みにぴったりの一杯を正確に見つけ出せるよう、順番に解説します。
- ロングブラックはお湯が先でクレマが残りやすい
- アメリカンコーヒーは浅煎り豆を使った薄めのドリップコーヒー
- ドリップコーヒーは透過法で抽出するためすっきりした味わい
ロングブラックはお湯が先でクレマが残りやすい
オーストラリアやニュージーランドで広く親しまれているロングブラックは、抽出の手順が異なります。
材料はアメリカーノと全く同じお湯とエスプレッソですが、お湯を先にカップへ注ぎ、後からエスプレッソを落とすスタイルです。
後からエスプレッソをそっと水面に落とすことで、表面の繊細なクレマが綺麗に残るのが大きな特徴として知られています。
アメリカーノよりもコーヒーの香りがダイレクトに感じられ、最初の一口の口当たりもまろやかに仕上がるのです。
アメリカンコーヒーは浅煎り豆を使った薄めのドリップコーヒー
日本で最も混同されやすいのが、昔ながらの喫茶店でお馴染みの「アメリカンコーヒー(アメリカン)」でしょう。
これは、浅煎り寄りの豆を使って多めのお湯で抽出した、薄めのドリップコーヒーを指します。
エスプレッソをベースにするアメリカーノとは、そもそもマシンの構造からして全くの別物です。
特有の酸味が強くてさっぱりとしたアメリカンコーヒーに対し、豊かな苦味とコクを持つのがアメリカーノという明確な違いがあります。
「アメリカンください」と言うと、アメリカーノが出てくるカフェもあれば、ドリップのアメリカンが出てくる喫茶店もあります。
お店ごとに独自のスタイルがあるのが、少しややこしいところですね。
ドリップコーヒーは透過法で抽出するためすっきりした味わい
私たちが自宅のコーヒーメーカーなどで毎日のようによく飲むドリップコーヒーは、どのような製法でしょうか?
「重力(透過法)」を利用してゆっくり抽出する製法です。
薄い紙などのペーパーフィルターを通すため、コーヒーの油分が適度に濾過され、すっきりとしたクリアな味わいに落ち着きます。
一方のエスプレッソやアメリカーノは、高い圧力をかけるため豆の油分まで余すことなく抽出されます。
コーヒー本来の重厚なパンチを味わいたいならアメリカーノ、軽やかな風味を好むならドリップコーヒーを選ぶとよいでしょう。
編集部がエスプレッソとアメリカーノを飲み比べてみた
頭で構造の違いを理解したところで、実際の味わいや飲み心地はどう変わるのでしょうか?
今回は編集部員が実際に2つのドリンクを作り、香りとスイーツとの相性を体験したので解説します。
- エスプレッソはガツンとした苦味と深いコクが魅力
- アメリカーノは香りを残しつつゴクゴク飲める軽快な味わい
- スイーツと合わせるならどっちがおすすめ?
- ミルクやシロップを追加する美味しいカスタマイズ
エスプレッソはガツンとした苦味と深いコクが魅力
抽出したてのエスプレッソを一口飲むと、どのような印象を受けるでしょうか?
強烈な強い苦味と、後から押し寄せる深いコクを感じるはずです。
お湯の量がごくわずかなため成分が限界まで凝縮されており、舌の上にトロリと残るほど濃厚で独特なテクスチャーです。
苦みが強い反面、上質な豆を使ったエスプレッソには、キャラメルのような甘みや芳醇な香りも色濃く隠されています。
少量の砂糖をたっぷり溶かし入れ、スイーツにかけるソースのようにして飲むのが、本場イタリアが誇る王道のスタイルです。
アメリカーノは香りを残しつつゴクゴク飲める軽快な味わい
同じエスプレッソをお湯で割ったアメリカーノを飲むと、強烈な特徴がまろやかに緩和されます。
ドリップコーヒーに近い濃度になるものの、ベースが純粋なエスプレッソなので、力強いボディが健在でありながらゴクゴクと喉を鳴らして飲める軽快さを持つドリンクです。
- エスプレッソ:苦味とコクの鋭いパンチがあり、ちびちびと味わう濃密さが特徴であり、食後にぴったりな1杯になります。
- アメリカーノ:すっきりとしたクリアな後味であり、時間をかけてゆっくり飲めるのが利点であり、作業のお供として重宝する存在です。
お湯で割ることで、ストレートでは隠れていたフルーティーな酸味などが優しく顔を出すこともあり、豆の持つ別の側面を楽しめます。
スイーツと合わせるならどっちがおすすめ?
選んだスイーツやカフェの利用シーンに合わせて、各ドリンクの長所はどちらの個性がより鮮明に引き立つのでしょうか?
例えば、バターをたっぷり使った濃厚なパウンドケーキや甘みの強いチョコレートには、力強い苦味のエスプレッソが相性抜群でした。
コーヒーの絶対的な強さがスイーツの重さをスパッと見事に切り裂いてくれ、完璧なマリアージュをつくります。
一方で、軽いショートケーキやフルーツタルトなど、繊細な味わいのスイーツにはアメリカーノがぴったりです。
主張しすぎない軽快なコーヒー感が、フルーツの酸味や生クリームのふんわりとした甘さを優しく引き立てます。
ミルクやシロップを追加する美味しいカスタマイズ
ブラック独特のダイレクトな苦味が苦手な方は、お好みで少しだけミルクやシロップを追加するアレンジも試してみてください。
アメリカーノに少量の冷たいフレッシュミルクを垂らすと、苦味の角が丸くなり、マイルドで口当たりの良いドリンクに変化します。
また、バニラシロップやキャラメルソースを追加すると、コーヒーの香ばしさと甘い香りが絶妙なバランスで絡み合うのです。
カフェラテとの比較は、カフェラテは太る?原因と飲み方や選び方を解説の記事もご覧ください。
カフェラテほどミルクが重くないため、すっきりした甘さを無理なく味わいたい時にぴったりです。
アメリカーノの本格的な味を自宅で再現する作り方と黄金比
- お湯とエスプレッソの黄金比は「1対3〜4」が基本
- 家庭用エスプレッソマシンを使って本格的な味を楽しむ
- マキネッタで代用して擬似エスプレッソを作る
- インスタントコーヒーで手軽にお店風の味を体験する
憧れのカフェの風味を自宅でも楽しみたい方のために、美味しいアメリカーノを淹れるための具体的なレシピを詳しく解説します。
高価な専用器具がなくても、今の環境と工夫次第でお店に近い味わいを十分に作り出せるので解説します。
お湯とエスプレッソの黄金比は「1対3〜4」が基本
自宅で美味しいアメリカーノを作る上で最も重要なポイントが、ベースとなるエスプレッソとお湯の割合です。
エスプレッソのソロショット(約30ml)を使うと仮定した場合、後から追加するお湯の目安は約90〜120mlとする「1対3〜4」の黄金比になります。
お湯の温度が高すぎると不快な苦味が際立つため、沸騰したての熱湯ではなく85〜90度程度に少しだけ冷ましたお湯を使うのがプロの技です!
もちろん、焙煎度合いや好みの濃さに合わせて、お湯の量は自由自在に調整して構いません。
まずは基本の黄金比で作ってみて、少しずつお湯の注ぎ加減を増減させて自分のベストバランスを探求してみてください。
家庭用エスプレッソマシンを使って本格的な味を楽しむ
それでは、ご家庭で最もお店に近いクオリティを手軽に出せる「家庭用エスプレッソマシン」を活用した、本格的な抽出手順を解説します。
最近は数万円で買える高性能でスリムな小型マシンも増えており、自宅のキッチンで美しいクレマを楽しめるようになっています。
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1
豆の計量とタンピング:極細挽きのコーヒー豆を専用のフィルターに入れ、平らに押し固めます。
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2
高圧でのエスプレッソ抽出:フィルターをマシンにしっかりセットし、約30mlのエスプレッソを一気に抽出します。
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3
適温のお湯を優しく注ぐ:別のケトルで沸かしたお湯(約90〜120ml)を、抽出したエスプレッソに優しく丁寧に注ぎ入れれば完成です。
最後にお湯を入れる際は、表面にできた綺麗なクレマを壊さないよう、カップの縁に沿ってゆっくりと注ぐのが美味しく美しく仕上げるポイントとなります。
マキネッタで代用して擬似エスプレッソを作る
数万円のマシンがない場合は、直火式のエスプレッソメーカーとして有名な「マキネッタ(モカエキスプレス)」で代用するのが一押しです。
マキネッタは約1〜2気圧という緩やかな圧力であるため厳密には本物のエスプレッソとは呼べませんが、ペーパードリップよりも遥かに濃厚なコーヒー液(モカコーヒー)を手軽に抽出できます。
抽出したモカコーヒーを、少しのお湯(1対2程度の割合)で割ることで、立派で美味しいアメリカーノ風ドリンクが完成するでしょう。
数千円で購入できる手軽な低価格帯と、キャンプなどアウトドアでも使える使い勝手の良さが最大のポイントです。
インスタントコーヒーで手軽にお店風の味を体験する
お金も時間もかけずに挑戦できるのが、インスタントコーヒーを使った擬似的なアメリカーノの作り方です。
複雑な器具や豆も一切不要で数分で完成しますが、最も重要なポイントは、インスタントの粉を少量の熱湯で「通常よりかなり濃いめ」に溶かして、擬似的なエスプレッソ原液をしっかりと作ることです。
そこに氷をたっぷり入れ、冷水を上から注いで一気に急冷すれば、韓国のカフェで高く評価されるような美味しいアイスアメリカーノを高コスパで再現できます。
エスプレッソとアメリカーノに関するよくある質問
ここまで2つのドリンクの違いを解説してきましたが、まだ疑問が残る方も多いのではないでしょうか?
ここでは、読者の方からよく寄せられる疑問について、回答とともに総復習も兼ねて解説します。
カフェで氷なしのアイスアメリカーノは注文できますか?
基本的には、ほとんどのカフェで「氷なし(ノンアイス)」での注文が快く受け入れられます。
アイスアメリカーノは「エスプレッソ+冷水+氷」で作られるため、氷を抜いても濃度が極端に変わって不味くなることはありません。
冷たすぎる飲み物が苦手な方や、テイクアウトして長持ちさせたい方に強く推奨できる頼み方です。
ただし、グラスの総容量に対しコーヒーの液量が少し少なく見える場合がある点は、あらかじめ理解しておいてください。
アメリカーノという名前の由来は何ですか?
第二次世界大戦中、イタリアに駐留していたアメリカ人兵士の飲み方が語源だとする説が国内外で有力です。
当時のイタリアのバールでは強烈に濃いエスプレッソが主流でしたが、アメリカ兵たちは自国の薄いドリップコーヒーに慣れ親しんでいました。
そこで、自分たちには苦すぎるエスプレッソをお湯で割って飲みやすく工夫した姿を見て、イタリア人が「アメリカ風のコーヒー(カフェ・アメリカーノ)」と呼び始めたと伝えられています。
今ではからかいの意味はなく、世界中のスターバックス等のメニューとして正式に認知されています。
コーヒーメーカーでエスプレッソは作れますか?
残念ながら、一般的なドリップ式のコーヒーメーカーでエスプレッソを作ることは物理的に不可能です。
エスプレッソの抽出には約9気圧という強力な機械的圧力が必要不可欠であり、重力でポタポタとお湯を落とす、コーヒーメーカーではその圧力を作り出せません。
どうしても自宅でエスプレッソの風味を楽しみたい場合は、家庭用のマシンを購入するか安価なマキネッタで代用するよう検討してみてください。
【まとめ】その日の気分でエスプレッソとアメリカーノを使い分けよう
今回は、エスプレッソとアメリカーノの抽出の仕組みや成分比較、そして自宅での本格的な淹れ方までを詳しく解説しました。
2つのドリンクの長所と違いをしっかりと理解することで、毎日のコーヒー選びがグッと楽しくなります。
- エスプレッソは9気圧で一気に抽出する濃厚なコーヒーの原液
- アメリカーノはエスプレッソをお湯で割った軽快なコーヒードリンク
- お湯で割っているだけなので1杯あたりの総カフェイン量やカロリーは同じ
- 自宅で美味しく作る際のお湯とエスプレッソの黄金比は「1対3〜4」
優劣やどちらが美味しいかという結論はなく、それぞれのドリンクには全く異なる明確な長所が存在しています。
食後に濃厚な甘さと苦味で口内をリセットしたい時はエスプレッソを、読書や仕事のお供にゆっくり味わいたい時はアメリカーノを選んでみてください。
その日の気分やシーンに合わせて2つのドリンクを使い分け、豊かなコーヒータイムを過ごしていきましょう。
