ブラックコーヒーの効果とは?メリットデメリットから健康的な飲み方まで解説

ブラックコーヒーの効果とは?メリットデメリットから健康的な飲み方まで解説
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コーヒーは、私たちの暮らしにすっかり溶け込んでいる飲み物ですよね。朝の目覚めの一杯だったり、仕事中の気分転換、食後のリラックスタイムのお供だったり、様々な場面で楽しまれています。

ミルクや砂糖を何も加えない「ブラックコーヒー」は、コーヒー豆本来の香りや味わいをダイレクトに楽しめるだけでなく、ダイエットや健康、美容にも嬉しい効果が期待できるのです。

この記事を読めば、ブラックコーヒーの基本的な知識から、気になるダイエット効果、健康や美容へのメリット、集中力アップやリラックス効果、そして飲むときに気をつけたいポイントまで、幅広く理解できるでしょう。

ぜひブラックコーヒーの魅力を知って、健康的に楽しく飲んでみましょう。

目次

ブラックコーヒーとは?

まずは基本から。「ブラックコーヒー」って、具体的にどんなコーヒーのことなのでしょうか。

その定義と特徴を見ていきましょう。

何も加えないのがブラックコーヒー

ブラックコーヒーとは、文字通り、コーヒー豆から淹れたコーヒーに、砂糖やミルク、クリームなどを一切加えない飲み方のことです。コーヒー豆そのものが持つ味と香りを、ストレートに味わうスタイルですね。

ただ、お店で売られている缶コーヒーやペットボトルのコーヒーには少し注意が必要です。

「ブラック」や「無糖」と書かれていても、実はごくわずかな糖類が含まれている場合があります。

これは、100mlあたり0.5g未満の糖類なら「無糖」と表示できるルールがあるため。糖質を厳しく管理したい方は、成分表示をチェックするか、自分で淹れるのが一番確実でしょう。

低カロリー低糖質でダイエット中でも安心

ブラックコーヒーの大きな魅力は、なんといってもカロリーと糖質が非常に低いこと。

ドリップコーヒー100gあたり、エネルギーは約4kcal、糖質は約0.7gと、ほんのわずか。コーヒーカップ一杯(約150ml)でも約6kcal程度にしかなりません。インスタントコーヒー(粉末2gを150mlのお湯で溶いた場合)も、だいたい同じくらいです。

市販品で「カロリーゼロ」と表示されていることもありますが、これは100mlあたり5kcal未満なら表示OKというルールのため。厳密には少しカロリーがありますが、他の飲み物と比べると、ほとんどないと言ってもいいレベルです。

この低カロリー・低糖質という点は、ダイエット中や糖質を気にしている方には、とても心強い味方になるはずです。

ちなみに、砂糖やミルクを入れると、カロリーと糖質はぐっと上がります。下の表で比べてみてください。

スクロールできます
飲み方量の目安カロリー(kcal)糖質(g)参照データ例
ブラックコーヒー(ドリップ)150ml約6約1.0
ブラックコーヒー(インスタント)150ml約6約1.0
+スティックシュガー1本(5g)150ml約26約6.0
+コーヒーフレッシュ1個(5ml)150ml約17約1.1(フレッシュの種類による)
+牛乳(50ml)200ml約42約3.4(コーヒー150ml+牛乳50mlとして計算)
+スティックシュガー1本+フレッシュ1個150ml約37約6.1
市販の加糖・ミルク入り缶コーヒー100gあたり約38約8.0(製品により大きく異なる)
コーラ200ml約92約22.6(参考値)
オレンジジュース(100%)200ml約96約21.0(参考値)

カロリー・糖質量は目安であり、豆の種類、抽出方法、製品によって異なります。糖質は炭水化物量から食物繊維を除いた推定値として記載している場合があります。

ダイエットや健康を考えるなら、まずはブラックで飲むことを試してみるのが良さそうですね。

豆本来の香りや風味を直接楽しめる

何も足さないブラックコーヒーだからこそ、コーヒー豆が持つ繊細な香りや複雑な味わいをそのまま感じられます

コーヒー豆は、育った場所や種類、加工方法、そして焙煎の仕方で、驚くほど様々な個性を見せてくれるのです。

例えば、焙煎が浅ければフルーティーな酸味と華やかな香り、深くなるにつれて香ばしさやしっかりとした苦味が出てきます。ブラックコーヒーなら、そうした豆ごとの違いや、淹れたての香り、口に含んだ時の風味の変化を、存分に体験できるでしょう。

カフェインとクロロゲン酸が主な有効成分

ブラックコーヒーの様々な効果を語る上で外せないのが、主に含まれる「カフェイン」と「クロロゲン酸類」という成分です。

カフェインは、シャキッと目覚めさせてくれたり、集中力を高めてくれたりする効果で有名ですね。

一方のクロロゲン酸類は、ポリフェノールという健康成分の一種。実はコーヒー豆にはカフェインよりも多く含まれているんです

コーヒー独特の苦味や色にも関わっていて、体をサビつきから守る「抗酸化作用」が強いほか、糖や脂肪の吸収・燃焼にも関係があるのではと研究が進められています。

ただ、クロロゲン酸類は熱に弱いので、コーヒー豆を焙煎すると減ってしまいます

一般的には、浅煎りの方がクロロゲン酸類は多めに残っている傾向があるようです。焙煎すると「メラノイジン」という別のポリフェノールもでき、これも抗酸化作用を持つと考えられています。

ブラックコーヒーにダイエット効果はある?

「ブラックコーヒーはダイエットに良い」と聞いたことはありませんか?その理由と仕組みを、もう少し詳しく見ていきましょう。

カフェインが脂肪燃焼を助け運動効率も上げる

コーヒーに含まれるカフェインには、体脂肪を燃えやすくする効果が期待されています。カフェインが神経を刺激すると、体が活動モードになり、アドレナリンなどのホルモンが出やすくなります。

これらのホルモンが脂肪細胞に働きかけ、脂肪を分解する酵素(リパーゼ)を元気にします。元気になったリパーゼは、体に溜まった脂肪を、エネルギーとして使いやすい形(遊離脂肪酸)に変えてくれるのです。

この遊離脂肪酸が筋肉などで使われることで、脂肪燃焼につながる、という仕組みです。

この働きによって、カフェインを摂ると一時的に基礎代謝(じっとしていても消費されるエネルギー)が上がる可能性も指摘されています。

大切なのは、カフェインはあくまで脂肪を「燃えやすい状態」にする手助けをするだけで、実際に脂肪を燃やすには運動が必要だということ。運動と組み合わせることで、カフェインのダイエットサポート効果をしっかり引き出せるでしょう。

クロロゲン酸が糖の吸収を緩やかにし脂肪を付きにくくする

コーヒーのもう一つの主役、クロロゲン酸類(CGA)もダイエットに関係しています。CGAには、食事で摂った糖質の消化や吸収をゆっくりにする働きがあると考えられているのです。

食事、特にご飯やパンなどの炭水化物を食べると、血液中の糖の濃度(血糖値)が上がります。

血糖値が急に上がると、インスリンというホルモンがたくさん出て血糖値を下げようとします。でも、このインスリンは、余った糖を脂肪として体に溜め込む働きもしてしまうのです。

クロロゲン酸類が糖の吸収を穏やかにしてくれると、食後の血糖値の急上昇が抑えられ、インスリンが出すぎるのを防ぐことができます。その結果、脂肪が溜まりにくくなる、というわけです。

さらに、クロロゲン酸類には、肝臓での脂肪燃焼を助けたり、脂肪を作る酵素の働きを邪魔したりする可能性も研究されています。動物実験や一部の人での試験では、クロロゲン酸類を摂ることで体重が増えにくくなったり、体脂肪(特に内臓脂肪)が付きにくくなったりすることが示されています。

つまり、ブラックコーヒーは、カフェインによる「エネルギー消費アップ」と、クロロゲン酸類による「エネルギーを溜め込みにくくする」という、二つの方向からダイエットを応援してくれる可能性があるのです。

特に、糖質の吸収を抑える効果を期待するなら、食事中や食後すぐにコーヒーを飲むのが良さそうですね。

ほぼゼロカロリーなので置き換えで摂取カロリーを減らせる

カフェインやクロロゲン酸の働きに加えて、ブラックコーヒーがダイエットに役立つ一番シンプルで分かりやすい理由は、「ほぼゼロカロリー」であることです。

普段飲んでいる甘いジュースや炭酸飲料、砂糖やミルクたっぷりのカフェラテなどをブラックコーヒーに替えるだけで、1日の摂取カロリーをぐっと減らすことができます。

例えば、朝食の甘い飲み物をブラックコーヒーにする、おやつの代わりにブラックコーヒーを選ぶ、といった小さな変更でも、積み重なれば大きなカロリーカットになります。

市販の飲み物と比べると、その差は明らか。コーラ(200ml)は約92kcal、オレンジジュース(200ml)は約96kcal、ミルクココア(200ml)は約157kcalもありますが、ブラックコーヒーならたったの6kcal程度です。

もちろん、食事をすべてコーヒーに置き換えるのは栄養的に問題がありますが、高カロリーな飲み物をブラックコーヒーに替える「置き換え」は、手軽に始められるカロリーコントロール法と言えるでしょう。

ブラックコーヒーの健康への良い効果

ブラックコーヒーは、ダイエットだけでなく、様々な面で健康に良い影響をもたらす可能性が研究されています。

その多くは、コーヒーにたっぷり含まれる抗酸化物質、特にポリフェノール類(クロロゲン酸類など)のおかげと考えられています。

抗酸化作用が体の老化や病気の原因を防ぐ

私たちの体は、エネルギーを作り出す時や、紫外線、ストレス、タバコなどによって、「活性酸素」という物質を常に作っています。

活性酸素は悪い菌をやっつける役割もありますが、増えすぎると健康な細胞まで傷つけてしまうのです。この細胞へのダメージ(酸化ストレス)が、老化を進めたり、がんや心臓病、糖尿病といった生活習慣病の原因になったりすると考えられています。

コーヒーには、クロロゲン酸類をはじめとするポリフェノールがとても豊富に含まれていて、これらは強力な「抗酸化作用」、つまり体のサビつきを防ぐ力を持っています

抗酸化物質は、増えすぎた活性酸素をやっつけて、細胞が傷つくのを防いでくれるのです。

実は、日本人にとってコーヒーは、食事からポリフェノールを摂るための大切な源の一つとも言われています。毎日ブラックコーヒーを飲む習慣は、体のサビつきを防ぐ力を高め、老化や様々な病気の原因となる酸化ストレスから体を守ることに繋がるかもしれません。

2型糖尿病の発症リスクを下げる可能性がある

多くの大規模な調査で、コーヒーを飲む習慣がある人は、2型糖尿病になりにくい傾向があることが繰り返し報告されています。

例えば、日本の「JPHC研究」という約5万6千人を対象にした調査では、コーヒーを1日に3〜4杯飲む人は、ほとんど飲まない人と比べて、2型糖尿病になるリスクが男性で17%、女性で38%も低かったそうです。日本人だけでなく、海外の研究でも同様の結果が出ており、コーヒーと糖尿病リスク低減の関係はかなり確かなようです。

なぜそうなるのか、完全には分かっていませんが、主にクロロゲン酸類の効果が大きいと考えられています。先ほどお話ししたように、クロロゲン酸類は食後の血糖値の上昇を穏やかにする働きがあり、インスリンの効きを良くする(インスリン感受性を改善する)可能性も指摘されています。

面白いことに、カフェインを取り除いたカフェインレスコーヒーでも、同じように糖尿病のリスクを下げる効果が見られるという報告もあります。これは、カフェイン以外の成分、特にポリフェノールであるクロロゲン酸類が、この効果に大きく関わっていることを示していますね。

ただし、これらの研究はあくまで「関連がある」という観察結果であり、コーヒーが直接糖尿病を「予防する」と断言できるわけではありません。

肝臓の健康を助け肝硬変などのリスク減が期待できる

コーヒーと肝臓の健康についても多くの研究があり、特に肝硬変や肝がんのリスクを下げる可能性が注目されています。

日本の「JPHC研究」など、複数の大規模な調査で、コーヒーを飲む量が多い人ほど肝がんになりにくい、という結果が一貫して出ています。

例えば、コーヒーをほとんど飲まない人に比べて、毎日飲む人は肝がんリスクが約半分に、1日5杯以上飲む人ではリスクが4分の1になった、という報告もあるほどです。肝硬変についても、コーヒーをよく飲む人ほどリスクが低い傾向が見られます。

コーヒーに含まれるクロロゲン酸類などの抗酸化物質や炎症を抑える物質が、肝炎ウイルスやアルコールなどによる肝臓の炎症や線維化(硬くなること)の進行を抑え、がん化を防ぐからではないかと考えられています。

また、コーヒーが肝臓の機能を示す数値(ALT、AST、γ-GTPなど)を改善したり、脂肪肝(肝臓に脂肪がたまる状態)を防いだりする効果も指摘されています。

特定のがんや心血管疾患のリスク低下も報告されている

肝臓以外のがんや、心臓病・脳卒中といった心血管疾患についても、コーヒーとの関係が調べられています。

がん

肝がん以外では、子宮体がんのリスクを下げる可能性がいくつかの研究で示されています。

大腸がん(特に女性の結腸がん)、前立腺がん、口やのどのがん、食道がんなどについても、リスクが下がる可能性が報告されています。ただ、大腸がんなど一部のがんについては、研究結果がまちまちで、まだはっきりとは分かっていません。

一方で、コーヒーを飲むことでがん全体のリスクが上がるという証拠はほとんどないようです。

心血管疾患(CVD)

心臓病や脳卒中などについても、興味深い報告があります。

多くの大規模な調査によると、1日に2〜4杯程度の適度な量のコーヒーを飲むことは、亡くなるリスク全体や、心血管疾患で亡くなるリスク、脳卒中になるリスクを下げることと関連しているようです。

カフェインには一時的に血圧を上げる作用がありますが、長期的に適量を飲んでいる場合、多くの人にとっては心血管疾患のリスクを高めることはないようです。むしろ、コーヒーに含まれる抗酸化物質が血管を守る効果などが期待されています。

研究結果はとても興味深いですが、多くは観察研究なので、コーヒーが直接これらの病気を「防ぐ」と断言はできません。コーヒーを飲む人の他の生活習慣(食事、運動、喫煙など)が影響している可能性も考える必要があります。

ブラックコーヒーは美肌にも良い?

コーヒーが健康だけでなく、美容、特にきれいな肌作りにも役立つかもしれない、と注目されています。

クロロゲン酸がシミの原因メラニンを抑える働きに期待

シミの主な原因は、紫外線などの刺激で肌の中で過剰に作られるメラニンという色素です。コーヒーに含まれるポリフェノール、特にクロロゲン酸類には、このメラニンが作られるのを抑える働きがあるのでは、と期待されているのです。

いくつかの研究、特に日本人女性を対象にした調査では、普段からコーヒーをよく飲む人(特に1日2杯以上)は、飲まない人に比べて、紫外線による顔のシミが少ない傾向が見られました。

その仕組みとしては、クロロゲン酸類が、メラニンを作る細胞(メラノサイト)への「メラニンを作れ!」という指令を邪魔したり、作られたメラニンが肌の細胞に取り込まれるのを抑えたりする可能性が考えられています。

また、クロロゲン酸類の持つ抗酸化作用(サビつきを防ぐ力)が、シミのきっかけとなる紫外線ダメージから肌を守ることも関係しているでしょう。

抗酸化作用が肌の老化を防ぐアンチエイジング効果

シミだけでなく、シワやたるみといった肌の老化サインにも、コーヒーの抗酸化作用が役立つ可能性があります。

肌の老化の大きな原因の一つは、紫外線やストレスなどで発生する活性酸素による「酸化ストレス」(体のサビつき)です。酸化ストレスは、肌のハリや弾力を保つコラーゲンやエラスチンといった大事な成分を傷つけ、壊してしまいます。これがシワやたるみの原因になるのです。

コーヒーに豊富なポリフェノール(クロロゲン酸類など)は、この酸化ストレスと戦い、肌細胞へのダメージを減らすことで、肌の老化スピードを遅らせる効果が期待されます。

さらに、体の中で糖とタンパク質がくっついて老化物質(AGEs)を作る「糖化」も、肌の弾力低下やくすみの原因になりますが、コーヒーのポリフェノールにはこの糖化を抑える作用(抗糖化作用)も報告されており、これもアンチエイジングに役立つと考えられます。

ブラックコーヒーの覚醒とリラックス効果

コーヒーは、私たちをシャキッと目覚めさせてくれる一方で、ホッと一息つかせてくれる癒やしの力も持っています。

この一見、反対に見える効果は、カフェインと香りの働きによるものです。

カフェインが脳を覚醒させ集中力や仕事効率を上げる

コーヒーを飲むと眠気が覚めて頭がスッキリするのは、主にカフェインのおかげです。

カフェインは、脳の中で「アデノシン」という物質が働くのを邪魔します。アデノシンは、私たちが活動して疲れると脳にたまり、神経の働きを抑えて眠気を引き起こす物質。カフェインは、このアデノシンがくっつく場所(受容体)に先回りしてくっつくことで、アデノシンの働きをブロックし、眠気を感じにくくさせるのです。

これにより、目が覚め、疲れが和らぎ、集中力や注意力がアップします。


【体験談】午後の集中力とコーヒー

締め切り間近で集中力が途切れがちだった午後、一杯のブラックコーヒーを淹れてみました。香りを楽しみながらゆっくり飲むと、不思議と頭がクリアになり、もう一度作業に向き合う意欲が湧いてきたんです。

特に、複雑なデータ分析に取り組んでいたのですが、以前よりも注意深く、効率的に進められたように感じました。カフェインが脳を覚醒させる効果は知っていましたが、実際に仕事の効率が上がるのを体感すると、コーヒーブレイクの重要性を再認識しますね。


コーヒーの豊かな香りが心と体をリラックスさせる

一方で、コーヒーはその豊かな「香り」によって、心と体をリラックスさせる効果も持っています。これはカフェインとは別の、香り成分自体の効果と考えられています。

ある研究では、特定のコーヒー豆の香りを嗅ぐと、脳がリラックスしている時に出る「α(アルファ)波」という脳波が増えることが確認されました。特に、「グァテマラ」や「ブルーマウンテン」といった種類の豆の香りでα波が多く見られ、高いリラックス効果があることが示唆されました。

面白いことに、別の実験では、「ブラジルサントス」や「マンデリン」、「ハワイ・コナ」といった豆の香りを嗅いだ時には、α波はあまり増えず、代わりに情報処理能力や集中度と関係する脳波(P300)の反応が速くなったそうです。

これらの香りはリラックスさせるというより、むしろ脳を活性化させ、集中力を高める方向に働く可能性を示しています。

ブラックコーヒーの注意点と対策

たくさんの良い効果が期待できるブラックコーヒーですが、飲む上で知っておきたい注意点もあります。

カフェインの摂りすぎは不眠や不安など不調の原因に

カフェインは適量なら良い効果がありますが、摂りすぎると体に良くない影響が出ることがあります。

主な症状としては、神経が過剰に刺激されることによる、めまい、心拍数の増加(ドキドキする感じ)、興奮、不安感、イライラ、震え、眠れなくなる(不眠)などが挙げられます。また、胃腸への刺激で、吐き気や下痢、胃の痛みを感じることもあります。

健康な大人の場合、1日に摂って良いカフェインの量は、海外の専門機関などによると、最大で400mgくらいが目安とされています。普通のドリップコーヒー(1杯150mlあたり約90mgのカフェイン)だと、1日に4〜5杯程度にあたります

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飲料の種類カフェイン量(mg)備考
コーヒー(ドリップ)約60抽出条件:粉末10g/熱湯150ml
コーヒー(インスタント)約60抽出条件:粉末2g/熱湯140ml
紅茶約30抽出条件:茶葉5g/熱湯360ml
緑茶(煎茶)約20抽出条件:茶葉10g/90℃湯430ml
ウーロン茶約20抽出条件:茶葉15g/90℃湯650ml
コーラ飲料約10製品により異なる
エナジードリンク32〜214(製品による)製品により大きく異なる

出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)、厚生労働省資料など

ただし、カフェインにどれくらい敏感かは人によってかなり違うので、この量より少なくても不調を感じる場合は、飲む量を減らす必要があります。

カフェインは一時しのぎで疲労回復には休息が不可欠

カフェインのシャキッとさせる効果は、疲れを感じにくくさせる一時的なものであって、疲れそのものを取ってくれるわけではありません

カフェインは、脳内で眠気を誘う「アデノシン」という物質の働きを邪魔することで、一時的に眠気やだるさを感じなくさせますが、体のエネルギーが回復するわけではないのです。

疲れているのにカフェインの力で無理を続けると、かえって疲れが溜まってしまい、後でひどい疲れが出たり、慢性的な疲労状態になったりする可能性もあります。

本当に疲れを取るためには、カフェインに頼るのではなく、質の良い睡眠をとったり、しっかり休んだりすることが何より大切です。

タンニンが鉄分吸収を妨げるため貧血気味の方は注意

コーヒーには、「タンニン」というポリフェノールの一種も含まれています。

タンニンは、食事やサプリで摂った鉄分、特に野菜などに含まれる鉄分(非ヘム鉄)とくっついてしまい、体が鉄分を吸収するのを邪魔してしまう可能性があります。

特に鉄分が不足しがちな方や貧血気味の方にとっては注意が必要です。鉄分を効率よく摂るためには、鉄分が多い食事(レバー、赤身肉、ほうれん草、大豆製品など)や鉄剤を摂るタイミングと、コーヒーを飲むタイミングをずらすのがおすすめです。

妊娠中や授乳中はカフェイン量に配慮が必要

妊娠中や赤ちゃんに母乳をあげている期間は、カフェインの量に特に気をつける必要があります。

カフェインは、お母さんの体から胎盤を通って赤ちゃんに届いたり、母乳にも出てきたりするためです。お腹の中の赤ちゃんや生まれたばかりの赤ちゃんは、カフェインを分解する力がとても弱いので、カフェインが体の中に長く残ってしまいます。

妊娠中にカフェインを摂りすぎると、赤ちゃんが小さく生まれるリスクが高まったり、流産のリスクが上がったりする可能性が報告されています。授乳中にお母さんがカフェインを摂りすぎると、母乳を通して赤ちゃんに伝わり、赤ちゃんが興奮しやすくなったり、寝つきが悪くなったりすることがあります。

こうしたリスクを考えて、世界保健機関(WHO)などの国際的な機関は、妊娠中や授乳中のカフェイン摂取量を制限するように勧めています。具体的な量は機関によって少し違いますが、だいたい1日あたり200mg〜300mg未満(コーヒーで約1〜3杯)を目安にしています。

コーヒーが好きでどうしても飲みたい場合は、カフェインがとても少ないか、ほとんど含まれていない「カフェインレス(デカフェ)」コーヒーを選ぶのが安心でしょう。

ブラックコーヒーの効果に関するよくある質問

ブラックコーヒーについて、よく聞かれる質問にお答えします。

ミルクや砂糖を入れると効果はどう変わりますか?

ブラックコーヒーにミルクや砂糖を入れると、味はもちろん、カロリーや栄養、そして健康への影響も変わってきます。

  • カロリー・糖質が増える:一番大きな変化はこれです。スティックシュガー1本で約20kcal、コーヒーフレッシュ1個で約11kcal、牛乳50mlで約34kcal(牛乳の分だけ)がプラスされます。
  • 健康効果への影響:砂糖の摂りすぎは、血糖値を急上昇させ、糖尿病のリスクを高めるなど、コーヒーが持つとされる良い効果(血糖コントロール改善など)を打ち消してしまうかもしれません。
  • ポリフェノールの吸収:ミルクのタンパク質がコーヒーのポリフェノール(クロロゲン酸類など)とくっついて、吸収を邪魔するかもしれない、という研究があります。
  • 胃へのやさしさ:コーヒーのカフェインや酸は胃酸を出すのを促すので、空腹時や胃が弱い人には刺激になることがあります。

ブラックコーヒーの低カロリーや血糖値への穏やかな影響といったメリットを活かすなら、何も加えないのが一番です。

もし味を変えたいなら、砂糖やミルクは少しだけにするか、低カロリー甘味料や低脂肪乳、豆乳などを少量使うといった工夫が良いでしょう。

カフェインレスコーヒーでも健康効果はありますか?

はい、カフェインを取り除いたカフェインレス(デカフェ)コーヒーでも、多くの健康効果が期待できます。

カフェインレスコーヒーは、カフェインだけを取り除いたものですが、カフェイン以外の成分、特に健康に良いとされるポリフェノール(クロロゲン酸類など)の多くは残っています。

そのため、ポリフェノールの抗酸化作用によるアンチエイジング効果や、2型糖尿病、肝臓の病気、一部のがんのリスクを下げる可能性など、ポリフェノールが関係すると考えられる健康効果は、カフェインレスコーヒーでも期待できるとされています。

ただし、カフェインを取り除く過程で、ポリフェノールも少し失われる可能性があるので、普通のコーヒーと比べると効果が少し弱まる可能性はあります。

【まとめ】ブラックコーヒーには良い効果がある

ブラックコーヒーは、ただ美味しいだけでなく、私たちの健康や毎日の生活に、たくさんの良い影響を与えてくれる可能性がある飲み物です。

  • 低カロリー・低糖質:ダイエットや健康管理の強い味方になります。
  • ダイエットサポート:カフェインによる脂肪燃焼サポート・運動効率アップと、クロロゲン酸による糖の吸収抑制・脂肪をつきにくくする効果が期待できるでしょう。
  • 豊富な抗酸化物質:ポリフェノール(クロロゲン酸類など)が体のサビつきを防ぎ、老化や生活習慣病のリスクを下げるのに役立つかもしれません。
  • 病気のリスク低減:2型糖尿病や肝臓の病気(肝硬変、肝がん)、特定のがん、心臓病や脳卒中のリスクを下げる可能性が報告されています。
  • 美肌効果:シミの原因となるメラニンを抑えたり、肌の老化(シワ・たるみ)を防いだりするアンチエイジング効果が期待されています。
  • メンタル効果:カフェインでシャキッと集中力を高め、香りでリラックスできる、二つの効果を持っています。

しかし、これらの良い効果をしっかり得て、悪い影響を避けるためには、「適量」を守ることが何よりも大切です。健康な大人でも、1日のカフェイン摂取量は400mg(コーヒーで約3〜5杯)を目安にして、飲みすぎによる不眠、不安、動悸などを避けましょう。特に夕方以降に飲むと睡眠に影響しやすいので注意が必要です。

ブラックコーヒーを健康的に楽しむためのポイントをまとめると、

  • できるだけブラックで。砂糖やミルクは控えめに。
  • 飲むタイミングを考える(例:運動前や食後は良いかも。寝る前は避ける)。
  • 自分の体調やカフェインへの感じ方に合わせ、無理なく楽しむ。
  • 質の良い豆を選んで丁寧に淹れ、香りや風味も楽しむ。

ということです。

ぜひ、ご自身のライフスタイルに合わせて、ブラックコーヒーとの素敵な付き合い方を見つけてみてくださいね。

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